カシオ計算機とグループ会社のLibryは4月10日、高校数学向けの教材作成ツール「Libryプリント作成ツール Q.Bank」を発表した。連携する教科書の問題を活用し、教員が試験問題や教材をつくれる。販売自体は教科書出版社を経由して行い、カシオは自社の営業網などを通じて認知拡大などに取り組む。2026年3月の発売を予定する。
Libryはデジタル教材プラットフォーム「Libry」を手掛け、24年にカシオの子会社になっている。Q.Bankには複数の出版社の教科書や問題集、参考書など200冊以上の教材に掲載された数学問題が集められ、ユーザーは自由に問題を組み合わせた問題集を作成できる。
カシオが関数電卓やICT学習アプリ「ClassPad.net」で培った数式入力を始めとした数学ツールの技術を応用したエディター機能も備える。既存の問題を編集したり、いちから独自の問題を制作したりできる。
煩雑な業務である教材作成の時間短縮や効率化が図れるほか、独自問題については、Q.Bank上でシェアする機能も設けられ、ノウハウの共有も容易になる。教科書出版社4社が提携しており、今後はさらなる出版社の拡大、数学以外の科目への適用なども進める方針だ。
カシオ計算機の佐藤智昭・教育BU事業部長(右)とLibryの後藤匠CEO
現状は紙での出力のみに対応するが、Libryの後藤匠CEOは「デジタル教科書、デジタル問題集のプラットフォームと連携し、教員がつくった問題をオンライン配信するなど、教育現場を支えられるプロダクトにしたい」と話した。
カシオは近年EdTech領域に注力しており、商材ではClassPadを中心に訴求を図っている。ClassPadとLibryを合計した導入数は24年春時点で815校となっている。現段階での事業概況について、カシオの佐藤智昭・教育BU事業部長は「アプリケーションを始めて数年であり、使っていただき、良さを体感していただいている」状況だと説明し、引き続き現場の声を取り入れながら、機能拡張を進めるとした。
(藤岡 堯)