さくらインターネットと九州工業大学は8月30日、産学連携に関する包括連携協定を結んだ。両者はこれまでにも学生教育などで協力してきたが、関係をさらに発展させ、人材の相互交流やインターンシップの実施、施設・研究資料の相互利用などの領域で連携体制を構築する。学術の発展や新技術の創出、社会をリードするIT人材の育成を目指す。
さくらインターネットの田中邦裕社長(右)と九州工業大学の尾家祐二学長
同日、オンラインで調印式が行われ、さくらインターネットの田中邦裕社長、九州工業大学の尾家祐二学長が協定書にそれぞれ署名し、今後の抱負を語った。
田中社長は「昨今のデジタルトランフォーメーションの流れの中で、情報工学を専門的に学んだ学生の価値は高まっており、情報工学に力を入れている九州工業大学との連携は大変うれしい」と強調。学生には実践的な技術が必要になっていると指摘した上で「事業者が教育にコミットできる価値も非常に大きい。社会の役に立つ包括連携となればいい」と期待を寄せた。尾家学長は、同大が産学連携を重視しているとし「包括協定で、さくらインターネットとの組織的な連携を深め、多様なチャネルを通して持続的に発展できる関係を作り上げたい」と意欲を示した。
両者は2020年度から九州工業大学大学院情報工学府で、クラウドコンピューティング環境をテーマにした「PBL(Project-Based Learning、課題解決型学習)」の共同実施や、さくらインターネットの組織内研究所の研究員による講義などで協力してきた。取り組みを通じて、実践的な教育カリキュラムが確立できたことから、さらに連携強化を図る目的で包括協定を結んだ。
具体的な連携内容については、さくらインターネットが福岡市に有する開発拠点でのインターンシップの実施、学生への実践的な情報・AI教育の提供、社会連携活動などを想定。クラウド・ネイティブ人材の育成と教育の場の提供につなげる。(藤岡堯)