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新会社「東芝データ」、データ活用ビジネスで外部人材を積極採用

2020/02/06 12:17

 東芝はデータから価値を創り出すことを目的とした新会社「東芝データ」を立ち上げた。資本金4億9000万円、従業員数22人の体制でスタートする。購買や健康、行動などに関するデータを取得し、新しいデジタルサービスの振興に役立てる。データの取得、活用は東芝グループ内外の企業と協業していくことを前提としていることから、「マーケティングやパートナーづくりを得意とする外部人材も積極的に採用し、さまざまな企業とのエコシステムを形成する」と、東芝執行役常務最高デジタル責任者で東芝データの社長を兼務する島田太郎氏は話す。

 東芝データは、取得したデータの販売や、データを活用したデジタルビジネスの利益をシェアするケースなど複数のビジネスモデルを想定。特に後者では、消費者向け(B2C)や企業間(B2B)といったビジネス形態を問わず、幅広い業種・業態のパートナーと連携してビジネス拡大を目指していく。とはいえ、東芝はこれまで中核となるようなデータの蓄積が乏しい。そこで、まずはベースとなるデータとして東芝テックのPOSレジの電子レシートサービス「スマートレシート」から同意済みのデータを取得。この生活者の購買データを核として、データの活用方法を研究する。
 
左から東芝データの島田太郎社長、北川浩昭COO​​​​
 
 「スマートレシート」は、POSレジが管理している商品までデータとして取得できるため、購入金額がメインの電子マネーやスマートフォン決済、クレジットカードといった「決済データに比べて、より具体的な購買内容まで分かる」(東芝データの北川浩昭・代表取締役COO)が強み。一方で、「スマートレシート」の稼働実績は全国800店舗弱と少ないことが課題であるため、東芝データが推進役を担うことで今年度(2020年3月期)末までに2000店舗へと倍増させ、来年度(21年3月期)まで10万店舗、流通総額45兆円以上へと拡大させる。

 生活者の購買データをベースとして、ニュース配信のGunosy(グノシー)や、健康医療の関連ビジネスを手掛けるシーユーシーなどの外部企業と協業。Gunosyでは生活者の購買行動により合ったコンテンツを配信したり、シーユーシーでは食生活から生活習慣病を予防したりするといった取り組みを始める。

 外部企業とデータを活用したビジネスをつくり出すのは、実質今回が初めて。島田社長は「コンセプトを共有し、仲間づくりやビジネス開発が得意な人材」を中心に、外部からも積極的に採用を進める。島田社長自身も18年にシーメンス日本法人の専務執行役員から東芝のデジタル事業責任者へと転身している立場だ。また、海外でのビジネス展開も並行して進めるとしており、海外人材も拡充していく。東芝グループ内外から多様な人材を集めることで、従来の東芝になかった新しいデータ活用型のビジネスの立ち上げを目指す。

 今年度からスタートした東芝の5カ年の中期経営計画「東芝Nextプラン」では、同社が強みとする製品をベースとしたフィジカルと、デジタル仮想空間のサイバーを掛け合わせた「サイバーフィジカルシステム(CPS)」を経営戦略の軸に位置付けている。今回の東芝データも「POSレジ」と「デジタルビジネス」を掛け合わせることで新しい価値をつくり出すCPS事業の一環。CPS事業では自社の強みを生かしたエコシステム形成「オープン/クローズ戦略」、継続して収益を得るリカーリングビジネス、既存事業と相乗効果が見込めるM&Aなどを基本ポリシーと位置付けている。(安藤章司)
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外部リンク

東芝=https://www.toshiba.co.jp/