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紙面で振り返る2024年上期 新たな商機が生まれたIT市場 デジタル技術の重要性が高まる

2024/06/24 09:00

週刊BCN 2024年06月24日vol.2019掲載

 建設や物流といった業界で時間外労働に上限が設けられ、社会的機能の低下が懸念される「2024年問題」に直面したほか、自治体では災害への対応・対策の重要性が再認識されるなど、市場環境はめまぐるしく変化している。こうした問題に対し、業務効率化などでITが果たす役割の重要性がますます高まっており、加えて、生成AIの活用支援など国内のIT企業には新たな商機が生まれている。2024年上期(1~6月)の「週刊BCN」の紙面を振り返りながら、IT業界が担う未来を展望する。
(構成/大畑直悠、大向琴音)
 

Chapter1
DXで自治体業務を高度化

 行政に求められる役割の複雑化といった背景から、DXによって自治体の業務の効率化や高度化を後押しする動きが加速している。24年は1月1日に能登半島地震が発生。災害への意識が高まる1年の始まりとなった。3月11日・2005号の特集「防災・減災でITが大きな役割 進む自治体とベンダーの連携」では、自治体の防災・減災を支援するITの役割を探った。SAPジャパンは能登半島地震を受け、避難所データを集約・可視化するアプリケーションを1月13日に石川県に提供。避難所の正しい情報を把握し、避難者への支援を行き渡らせるサポートをいち早く提供した。
 
3月11日・2005号の紙面

 11年3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害が出た仙台市は、自治体や企業、研究機関でつくる「仙台BOSAI-TECHイノベーションプラットフォーム」を22年2月に設立。ITを活用した官民連携による防災を推進している。ベンダー目線だけではなく、自治体のニーズに合わせたシステムの開発を促す事業創出プログラムなどで、防災や減災に向けたITの活用に弾みをつけている。プラットフォームを拡大させ、産業振興につなげたい考えで、企業同士や官民連携の共創を生み出し、社会実装や事業展開を進め、これまで技術的な制約や収益性の観点から難しかった防災課題の解決も目指している。

 4月8日・2009号の「ノーコードから始まる自治体DX パートナーに生まれる商機とは」では、23年5月に始まった「ノーコード宣言シティー」プログラムなどを通じて、自治体のノーコード習得を後押しするノーコード推進協会(NCPA)や、プログラムに参画する自治体、そのパートナー企業を取材。ノーコードツールを起点とした自治体DXの可能性を探った。

   ノーコードツールは、現場が直面する課題に対して素早くアプリケーションを開発したり改善したりできることから、多様な住民からのニーズに応える上での強力な武器になり得る。ノーコードによる開発を通してデジタルへの理解が高まるほか、全てのシステム開発を外部に依頼する必要がなくなることから、費用の削減にもつながるなどメリットは多い。

 ノーコード宣言シティープログラムに加入する自治体は、職員向けの勉強会のほか、NCPAに属する「支援パートナー企業」による伴走サービスの提供を受けられる。参画する自治体のパートナーとなる企業の間では、同プログラムの取り組みの中で自治体との関係を深めたことで、セミナーなどを通して地域の中小企業などとの接点ができ、ノーコード関連の仕事を受注するなど、新しいビジネスにつながったケースも生まれている。
この記事の続き >>
  • Chapter2 各業界の課題に対応
  • Chapter3 活発化する生成AIビジネス
  • Extra 多数の外資ベンダーが年次イベントを開催

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