視点
インクルーシブ社会とゲーム
2025/03/05 09:00
週刊BCN 2025年03月03日vol.2049掲載
ゲームは、今や単なる娯楽ではなく、人によっては生活に欠かせないツールになっている。1月に放送されたNHKスペシャル「ゲーム×人類」では、全盲の人が格闘ゲーム「ストリートファイター」で健常者と決勝を争い勝利した。音を頼りに操作し、技を決めるシーンは印象的だった。カプコンも、視覚に障害がある人も楽しめるよう音に技術的な工夫を重ねてきたと紹介された。
20年前、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の理事就任の要請を受けた。当時、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)理事長だったカプコンの辻本憲三会長に相談したところ、あっさり承認された。以前、本稿に「理事長は、いずれ著作権の利用を通じて視覚障害者も含めたみんなが幸せになることが価値を持つ時代が来る、という直感があったのではないか」と書いた。その後、カプコンが、継続的により良い情報社会づくりに貢献していることを知り、胸が熱くなった。
私が全視情協の理事を務めているのも、ソフトウェアやアプリがハンディキャップのある人々にとって福音になり、ゲームがいずれ教育ソフトにもなり、社会に有用な文化になると確信しているからだ。
私は著作権保護も含む広い概念として「情報モラル」を守ろうとも伝えてきたが、この言葉ではダメダメ教育のイメージが払拭しきれないとして、最近は、創作といったポジティブな概念を含めた「情報倫理」という言葉を使おうと考えている。コンピューター倫理、AI倫理と言い換えてもいい。生成AIにもリスクはあるが、使ってはダメというのではなく、生活と社会をよくするために使いこなしたい。
そのためにACCSは、「AI技術の進歩と、著作権における“現状を理解”」と題したパネルディスカッションを主催している。2024年11月に「生成AIと声」、25年2月は「フェイク対策」をテーマに開催。3月は政府の取り組みについて開催する予定だ。ぜひACCSに問い合わせてほしい。
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