視点
「変革」の三つの意味とは
2024/02/14 09:00
週刊BCN 2024年02月12日vol.2002掲載
辞書では「変革」を「変えて新しいものにすること、変わって新しいものになること」という説明があり、「transformation」の「新しく根本的につくり変えること」ほどの強い意味合いはない。そこで「変革」を、以下の三つの視点で整理して、考えてみるといい。
オペレーションとしての変革:「オペレーション(operation)」とは、作業、工程、業務、操業、事業、活動、経営、運営を意味する。これらをよりよい状態に変えることを言う。これは、「改善=improvement」と同義だ。それぞれの現場が、自分の業務課題を見出し、これを改善することだ。「改善」は、既存のやり方を根本的に変えず、直面する課題を解決することを指す。短期的な効果は期待できるが、長期継続的な効果は期待できないだろう。
プロセスとしての変革:「プロセス(process)」とは、過程、経過、成り行き、進行、方法、手順、工程など、時間的経過を伴う一連の手順を意味する。提供する価値、すなわち製品やサービスは同じであっても、その提供方法を変える場合などがこれに該当する。
戦略としての変革:「戦略(strategy)」とは、包括的で大規模な作戦遂行の計画を意味する。事業そのものを新しくつくることとも解釈できる。
いま自分たちが使っている「変革」を、どの意味で使っているのかを問い直してはどうだろう。そうすれば、何を目指しているかをしっかりと自覚できる。
この三つの視点でDXを考えれば、オペレーションの変革にとどまる限りは、DXとは言えない。ただ、それが間違っているわけではない。それぞれの現状や立場によって、どの「変革」に向きあうかは、違って当然だからだ。
自分たちのやっていることが、DXであるかどうかなどはどうでもいい。自分たちが解決すべき課題を冷静に見極め、課題解決に向き合うことだ。
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