視点

AIの民主化がはじまった

2024/01/17 09:00

週刊BCN 2024年01月15日vol.1998掲載

 2023年11月に、「ChatGPT」の新機能として「GPTs」が公開された。GPTsを活用すれば、プログラミングなどの特別な知識は必要なく、自然言語だけでChatGPTを用いたツール制作が可能で、日々の生活、仕事、家庭で役立てることができる。コーディングの知識は不要で、誰でも簡単に独自のGPTを構築できる。

 これはプログラミングができない一般ユーザーが日常生活にAIを取り入れることを一気に現実化させる機能と言える。

 自分に必要なカスタムGPTをつくることができるので、とにかく便利だ。私が試したのはタスクビルダーというカスタムチャット。スマホに向かって今日やるべきことをつらつらと話す。その時に「まずはこれをやって」「次はこれをやって」というように順番や優先順位がわかるように話していくと、タスクリストが自動生成される。

 その日にやることをPCに向かってつくるのは続かないが、出社時、歩きながらこれをやる癖をつけると、タスクの整理を習慣化できるようになる。また、最近は動画で情報収集する機会が増えているが、何がどこで話されているか文字情報のようにパッとはわからないので、意外と時間がかかる。そこで動画を読み込ませると、自動で文字起こしをして内容をまとめてくれる。さらに内容について質問形式で確認することもできる。

 これによって情報収集の時間を大幅に短縮することができた。カスタムチャットボットはノンプログラミングでガイドに従ってつくることができるので、今後たくさんのカスタムチャットボットが生成され、共有されるだろう。仕事やライフスタイルの中に自然なかたちでAIが定着してくることとなる。

 今後、スマートグラスが普及してくると視界からのインプットがここに加わることになる。カメラの映像に記録された動画から必要な状況を理解してまとめたり、検索したりすることが可能となるだろう。そうなると「昨日、鍵をどこに置いたかな」と聞くと、その場所を教えてくれたり、出かけようとしたらスケジュール表から行動を推測したりして、必要なもちものを持っているかを推し測り注意喚起することもできるだろう。どんどんAIができることが増えていく中で、人間はAIによる機能の代替を恐れるのではなく、マネージメントする役割を認識し先に進むべきである。

 
事業構想大学院大学 教授 渡邊信彦
渡邊 信彦(わたなべ のぶひこ)
 1968年生まれ。電通国際情報サービスにてネットバンキング、オンライントレーディングシステムの構築に多数携わる。2006年、同社執行役員就任。経営企画室長を経て11年、オープンイノベーション研究所設立、所長就任。現在は、Psychic VR Lab 取締役COO、事業構想大学院大学特任教授、地方創生音楽プロジェクトone+nation Founderなどを務める。
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