経営者たちの軌跡
米Avanade日本法人 安間裕 前会長 偶然を味方にできた9年 「助けられ上手」で成長を実現
2023/10/17 09:00
週刊BCN 2023年10月16日vol.1988掲載
役割を終え、退任の時を迎えた彼らは、どのような思いを抱いているのだろうか。
任期中の出来事などを振り返ってもらい、これまでに描いてきた軌跡をたどる。
安間裕氏が、8月末で米Avanade(アバナード)日本法人の会長を退任した。社長、会長として約9年間を過ごした同社での日々は「偶然を味方にできた」と振り返る。自らを「助けられ上手」と称し、社員とともに会社の成長を実現。グローバルの中でも結果を残してきた。ITの役割が大きく変わりつつある中、若い世代に経営のかじ取りを託し、新たな一歩を踏み出している。
(取材・文/齋藤秀平)
きれいにバトンが渡せた
──8月末で会長を退任されました。今の率直な気持ちを教えてください。ほっとしたとか、肩の荷が下りたとかの気持ちは少しはあります。幸いなことに比較的きれいなかたちでバトンが渡せたので、そういう意味では、心配せずに済むという気持ちのほうが近いです。
私は1点集中型の目標に向けて生きてきたわけではなく、各場面で「こんなふうになったら人生が楽しくなりそうだな」ということを選択してきました。外資ITベンダーの社長になりたいと思ったことは一度もありませんでしたが、提供される偶然を味方にすることができたと思っています。
──このタイミングでの退任には、どのような理由があったのでしょうか。
9月で64歳になりました。一般的にまだ若いと言われます。ただ、世の中の面白いものを見に行くためには、それなりの体力が必要です。もう少し会長をやろうかなとは思っていましたが、元気なうちに仕事を一休みして、時間をつくりたかったので、コロナ禍が落ち着きそうだと分かった時点で鈴木さん(鈴木淳一社長)に退任の話をしました。
──ビジネス面の理由についてはいかがでしょうか。
今までは、ビジネスの要件を誰かが考えて、ITはその要件を実現するための手段となっていました。つまり、ITは縁の下の力持ちであり、大道具や小道具という立場だったわけです。しかし、そういった時代はもはや終わりました。ITとビジネスが並列的に進化するようになり、ITの位置付けは大きく変わっています。そのようなことを声高に語っていたにも関わらず、どうしても自分の中で「ITはツール」という考えが体の隅々まで染みこんでいました。ITが今後、加速度的に進化していくことが予想される中、柔軟に考えたり、未来のことを自らの問題として捉えたりできる若い人が経営に携わるほうがいいと判断しました。
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