号砲!!ガバメントクラウド プレイヤーたちの青写真

日本オラクル パートナーは「一歩目踏み出して」ビジネスモデルの変容は不可避

2023/07/28 09:00

週刊BCN 2023年07月24日vol.1978掲載

 政府共通のクラウドサービスの利用環境「ガバメントクラウド」による自治体システムの標準化・共通化に向けた動きが加速している。政府が掲げる移行期限の2025年度末まであと3年。全国約1700自治体のリフト&シフト実現に向け、デリバリー人材の圧倒的不足などの課題が浮き彫りになる中、プラットフォーマー各社やSIerはどう動いているのか。号砲が鳴ったガバメントクラウド。プレイヤーたちが描く青写真に迫る。第3回は日本オラクルの取り組みを紹介する。
(藤岡 堯)

にじむ危機感

 日本オラクルは2月、全国7都市で、自治体システムのモダナイズに関わるパートナー企業などを対象に、ガバメントクラウドや自治体DX支援、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)のスキル取得などを目的としたトレーニングをキャラバン形式で実施した。全国のパートナーやオラクルに関心のある企業と直接対話し、オラクルのソリューションへの理解やオラクルとのビジネスの深化につなげる狙いだった。
 
本多充・執行役員(左)と細野彰則・部長

 同社によると、7会場で計135社600人が参加する盛況ぶりだった。執行役員の本多充・クラウド事業統括・公共・社会基盤営業統括は「次の企画を立てないといけない」と話し、追加開催を検討しているという。また、政府・自治体領域に関するOCIの情報を集約したランディングページを制作し、パートナーや自治体職員に対する情報発信にも注力している。

 対話から見えたパートナー側の熱意は、危機感の表れのようにも映る。これまで自治体と関わりを深めていたSIerなどにとって、ガバメントクラウドは、ハードウェアの導入からSI業務、ソフトウェアを含めた運用・保守で成り立っていた自治体ビジネスを大きく変えるかもしれない。クラウドビジネスに本格的に乗り出すか否か。本多執行役員は「ここ(での選択)を間違えると、今までのビジネスモデルが変わり、シェアを取られる可能性がある」と指摘する。

 システム標準化の対象は基幹系の20業務だが、将来的には周辺業務のクラウド移行も進むとみられる。民間企業が相手ならば、提案の仕方によってオンプレミスを維持し続けることはありうるが、国の方針が「クラウド・バイ・デフォルト」である以上、基礎自治体においてもクラウド移行の流れは加速するだろう。

 クラウドビジネスに踏み切れなかったパートナーにとって、ガバメントクラウドは否が応でもクラウドと向き合う契機となるはずであり、「なんとか一歩目を踏み出してもらいたい」(本多執行役員)というのは、デリバリー体制の強化を目指すクラウドベンダー各社に共通する思いと言える。
この記事の続き >>
  • 存在感強まるOCI
  • コストパフォーマンスで訴求

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外部リンク

日本オラクル=https://www.oracle.com/jp/