経営者たちの軌跡

弥生 岡本浩一郎顧問(前代表取締役社長執行役員) 山を登り続けた15年 転換点に縁があった

2023/05/16 09:00

週刊BCN 2023年05月15日vol.1968掲載

自社の成長に力を注ぐとともに、IT業界の発展に貢献してきた経営者たち。
役割を終え、退任の時を迎えた彼らは、どのような思いを抱いているのだろうか。
任期中の出来事などを振り返ってもらい、これまでに描いてきた軌跡をたどる。


 2008年4月から弥生のトップとして経営のかじ取りをしてきた岡本浩一郎氏は、23年3月末で社長から退き、同4月1日付で同社の顧問に就いた。社長としての任期は当初の考えを大幅に超える15年。これまでの道のりを登山に例えて「ひたすら山を登り続けた」と振り返り、「転換点に縁があった」と語る。次世代にバトンを託し、社長としての仕事を終えた今、抱いているのは感謝の気持ちだけだ。
(取材・文/齋藤秀平)

平たんな場所は永遠にない

──社長としての役割が終わった今の気持ちを教えてください。

 社長として15年、社員のほか、会計事務所を含めたパートナーと一緒に事業を展開してきました。顧問としてまだ弥生との関わりはありますが、いずれは退任するときがくるので、将来的に仲間と離れることを考えるとさびしさを感じます。それと同時に、ほっとした気持ちもあり、いろいろな思いがない交ぜになっています。
 
弥生 岡本浩一郎 顧問
(前代表取締役社長執行役員)

──15年、社長を務めることは考えていましたか。

 社長として招へいされた際、当時の株主であった投資ファンドから「2、3年は逃げないでくれ」と言われていました。当然、逃げることは考えていませんでしたが、「2、3年は短いので、5年くらいはやらないといけないな」と思っていました。私は創業者ではなく、バトンを受け取った立場なので、次の方にバトンを渡すことも自分の仕事だと認識していました。過去には、創業者以外の人が長年、社長を続ける弊害のような話をブログで書いたこともありますが、なかなかタイミングがつかめませんでした。

──3月末を退任のタイミングとしたのはなぜでしょうか。

 経営は山登りに似ています。バトンを渡すタイミングについては、山を登って少し平たんな所に出たときが適切だと考えていました。しかし、山を登ったら、また次の山が待ち構えています。平たんな場所は永遠になく、自分の考えは幻想に過ぎないと思うようになりました。だから坂道の途中であっても止まらざるを得ないわけです。23年は10月にインボイス制度が始まります。やらなければならないことはたくさんあり、大変な時期ではありますが、しっかりやれば成果が出るはずです。何が正解かは分かりませんし、そもそも正解はないかもしれませんが、3月末を退任のタイミングとして選択しました。
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