視点
ITの力で暗闇に光を
2022/01/05 09:00
週刊BCN 2022年01月03日vol.1905掲載
コロナ禍を機に、国内でデジタル化に向けた機運が高まっている。政府は同年、「デジタル社会形成の司令塔」となるデジタル庁を新設し、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をミッションとして掲げた。
牧島かれんデジタル大臣は、アプリの提供を開始した翌日の21日、旧姓併記の問題について「課題があることは認知している」としつつ、「確実な(接種証明書の)発行を担保するための検証時間を十分に確保する必要があるため、ファーストリリースには(旧姓併記に対応する機能を)実装していない」と話した。1月中の実装を目指しているそうだが、取り残された側としては寂しい気持ちしかない。
この約2年間で、IT業界を取り巻く環境は大きく変わった。テレワーク向けの製品やサービスの導入拡大や、それに関連する新しいサービスの登場、既存ビジネスの見直しなど、ITベンダーにとっての変化は枚挙にいとまがない。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が言葉として社会に浸透し、ITベンダーの経営者からは、以前と比べて顧客やパートナーの意識は変わりつつあるとの声が多く上がっている。IT業界内では、単なる製品やサービスの提供だけでなく、顧客のビジネスに直結する「本当の意味でのDXの実現」や「価値の提供」を目指す動きが徐々に広がっている。
政府は同年12月の月例経済報告で、全体の景気判断を1年5カ月ぶりに引き上げ「持ち直しの動きがみられる」とした。ITベンダーの顧客の間でも、業績が好調で、IT投資に積極的な企業は少なくないだろう。一方、依然としてダメージが色濃く残る業種があることも忘れてはならない。国内のデジタル化を推進するためには、暗闇の中でもがく企業を取り残さず、ITの力で光を当てることが重要だ。ITベンダーに対する期待は引き続き大きいと感じている。
22年1月1日付で週刊BCNの編集長に就任することになりました。IT業界でビジネスを展開する読者の皆さまにとって、価値のある情報の発信に努めてまいります。引き続きご愛読ください。
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