視点
ACCS新理事長誕生を機に思うこと
2021/08/11 09:00
週刊BCN 2021年08月09日vol.1886掲載
辻本氏が理事長に就任したのは1997年。当時、インターネットには電話線を使ってダイアルアップで接続していた。パッケージソフトをフロッピーディスクやCD-Rにコピーした海賊版の販売が横行していたような時代だ。
その後、オークションサイトでの海賊版販売や、ファイル共有ソフトを使った違法アップロードなど侵害の舞台や態様が次々と変わるなか「著作権は大事だ」と、24年にわたってACCSを指揮していただいた。今後も、理事として新体制を支えていただくことになっている。
新しく理事長に就任した和田氏との出会いは、1990年代後半。イエス社が持っていたソフトウェア特許を巡ってOBCが訴訟提起されたときだ。和田氏は、ACCSメンバーと一体になって裁判を戦った、いわば同志である。この裁判は、原告の請求が棄却され、OBCが勝訴している。
和田氏はその後、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(今年7月からソフトウェア協会に名称変更)で06年から14年にかけて4期8年、会長を務められた。ソフトウェア業界の「顔」と言っていい。ACCSの理事長に就任されてまだ2カ月だが、早速、旧知のソフト会社に声を掛けていただき、活動の基盤作りに取り組んでいただいている。
昨今、著作権の重要性は社会に認知されたが、そのことで逆に、業界においては著作権への注目度が下がっているように感じる。だが、ゲームソフトもビジネスソフトもスマホアプリも、あらゆるソフトや創作性のある表現物は著作権という権利で守られており、その経済的、文化的価値こそが各社、そしてソフト業界のビジネスの土台である。
和田新理事長の誕生を機に、この原点に立ち返り、ソフトウェアに携わるみなさんとの関係を深めていきたい。和田氏は、ビジネスソフトメーカーからは27年ぶりの理事長である。ACCSの組織あるいは業界のあり方についての見方が変われば、私としてもとても楽しみだ。
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