視点
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義
2021/02/05 09:00
週刊BCN 2021年02月01日vol.1860掲載
東日本大震災から、今年で10年になろうとしている。私は、ボランティア団体に参加し、一時期は毎週のように被災地に通っていた。何年か経ち、あの被災直後の破壊され尽くされた荒涼たる景色の中に、道路や建物などが新しく作られ、復興がカタチとなり始めた光景に感動したことを覚えている。そんな折に、地元の人たちから思わぬ話を聞くこととなった。
「街の人々が戻ってきたわけではない」
被災した地域は、元々が過疎化の進んでいた地域だ。都会へ出ていた若者の中には、震災を機に地元に戻った人たちもいるが、むしろ、震災によって人口の流失が増えて、過疎化が加速したというのだ。復興のために道路や街を新しくしたが、過疎化という「本質的な変化の底流」を変えることはなかった。
私には、いまのコロナ禍が、そんな東日本大震災とかぶって見える。コロナ禍で本質的な変化の底流が変わったわけではない。変化のスピードが加速したに過ぎない。言い換えるならば、3~5年はかかるところが、半年から1年という時間に短縮されたということだ。
テクノロジーは時代を先取りする。働き方の多様化を実現するリモートワーク、これを支えるゼロトラストネットワークなどは、ここ何年も語られてきた。クラウド・ネイティブ、アジャイル開発、DevOpsなどもまた、以前から巷を賑わしていた。
本質的な変化の底流は何も変わらないままに、コロナ禍は、このようなキーワードを一気に浮かび上がらせ、動きを加速した。しかし、SI事業者の中には、この動きの「足かせ」となっているところもあるように見える。
不確実性の常態化、ビジネススピードの加速、ビジネスのサービス化といった本質的な変化の底流を顧みることなく、RPA、リモートワーク、AIやIoTなどのキーワードを並べ、その導入を促すことをデジタルトランスフォーメーション(DX)だと言ってはばからないとすれば、まさに足かせである。
テクノロジーのトレンドに、謙虚に真摯に向き合うべきだ。そんな上っ面だけのDXなんて、恥ずかしいと思うべきだ。そんな言葉など使わなくても、トレンドに向き合えば、それは自ずとDXへとつながる。
「街の人々が戻ってきたわけではない」
被災した地域は、元々が過疎化の進んでいた地域だ。都会へ出ていた若者の中には、震災を機に地元に戻った人たちもいるが、むしろ、震災によって人口の流失が増えて、過疎化が加速したというのだ。復興のために道路や街を新しくしたが、過疎化という「本質的な変化の底流」を変えることはなかった。
私には、いまのコロナ禍が、そんな東日本大震災とかぶって見える。コロナ禍で本質的な変化の底流が変わったわけではない。変化のスピードが加速したに過ぎない。言い換えるならば、3~5年はかかるところが、半年から1年という時間に短縮されたということだ。
テクノロジーは時代を先取りする。働き方の多様化を実現するリモートワーク、これを支えるゼロトラストネットワークなどは、ここ何年も語られてきた。クラウド・ネイティブ、アジャイル開発、DevOpsなどもまた、以前から巷を賑わしていた。
本質的な変化の底流は何も変わらないままに、コロナ禍は、このようなキーワードを一気に浮かび上がらせ、動きを加速した。しかし、SI事業者の中には、この動きの「足かせ」となっているところもあるように見える。
不確実性の常態化、ビジネススピードの加速、ビジネスのサービス化といった本質的な変化の底流を顧みることなく、RPA、リモートワーク、AIやIoTなどのキーワードを並べ、その導入を促すことをデジタルトランスフォーメーション(DX)だと言ってはばからないとすれば、まさに足かせである。
テクノロジーのトレンドに、謙虚に真摯に向き合うべきだ。そんな上っ面だけのDXなんて、恥ずかしいと思うべきだ。そんな言葉など使わなくても、トレンドに向き合えば、それは自ずとDXへとつながる。
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義
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