視点
一般社団法人 コンピュータソフトウェア 著作権協会 専務理事 久保田 裕
2021/01/29 09:00
週刊BCN 2021年01月25日vol.1859掲載
教育におけるICTの活用はビジネスにも影響することなので、本稿でも以前から取り上げてきたが、教育については今年、より柔軟に対面授業と遠隔授業を組み合わせて行われていくことになるだろう。
昨年4月、改正著作権法により創設された「授業目的公衆送信補償金制度」の運用が、緊急かつ特例として、補償金額を無償にして開始された。改正により、他人の著作物を含む教材の送信やオンライン授業が、著作権者の許諾なく行えるようになった。そして、いよいよ補償金額が定まり、来年度から本格運用が開始される。
改正に際しては、権利者団体と教育関係者が共同して「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」を設置し、授業を目的とする著作物利用に関するガイドラインを検討してきたが、昨年末、「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」が公表された。ガイドラインでは、条文内容の解釈について具体的に当てはまる例と当てはまらない例をあげ、より適切な判断・利用が可能になっている。
ウェブで公開されているので教育関係者の皆様にはぜひ確認してほしい。あわせて授業目的公衆送信補償金に関する権利管理団体である授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)が授業目的公衆送信補償金制度に関するFAQを公開しているので参照していただきたい。
私は今年、授業目的公衆送信補償金制度が正しく理解され活用されるよう教育現場に対し、さまざまな普及活動を行っていく予定だ。
同時に、著作権教育は情報教育であるという理念のもと、著作権を含む情報の重要性からアプローチすることが成功のカギであると考えている。例えば、近年話題のeスポーツの教育活用の場面においては、基盤としてゲームソフトの著作権についての理解、スポーツとしての「フェアプレイの精神」さらに「スポーツ・インテグリティ」などを、情報をベースにして学ぶことこそが生きる力につながると思う。
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