視点
事業構想大学院大学 教授 渡邊信彦
2020/11/13 09:00
週刊BCN 2020年11月09日vol.1849掲載
彼らが生まれてきた背景には、価値の多様化があげられる。昭和の時代には多数決という王道の決定方法が納得性をもって運用されていた。しかし今では価値は多様化し、多数決ができなくなった。それは“みんなが良いのが正しい”という価値観から“僕らがいいと思うことは僕らにとって正しい”と変化してきたからだ。
逆に言うと“彼らの言うことは僕らにとって正しくないが、彼らにとっては正しいことを許容する”ということが普通になったのだ。だから検索もまずは同じ価値観をもった人のフィルタリングをかけたメディアで行うことが、時間的にも優位になるということなのだろう。ただ、最近は各メディアが広告機能を搭載し始めているので、インフルエンサーが自分の意思に反したフィルタリングをすることによって、この形にも変化が見え始めてきているというのが現状だろう。
また、狭い価値観に没入してしまうため自分のソーシャルメディアには、興味がないことはだんだん表示されなくなってくる。これは知識の閉塞化を生むこととなり、これもまた違和感を生むことになる。ちなみに私のタイムラインにはVRのことばかりが流れているので、大流行していると勘違いしてしまうほどだ(笑)。
コミュニケーションの形態は常に変化している。この変化に敏感になっておかないと消費者とのギャップが大きくなっていってしまうので注意が必要である。
- 1