視点
一般社団法人 コンピュータソフトウェア 著作権協会 専務理事 久保田 裕
2020/10/16 09:00
週刊BCN 2020年10月12日vol.1845掲載
現在のところ、国内より海外で盛り上がっており、なぜ日本は出遅れたのかといった問題意識もあるし、そもそもeスポーツはスポーツなのかという指摘や疑問があることも承知している。それでも、競技としてゲームを楽しんでもらうことはもちろん、法教育としても極めて良質な教材ではないかと考えている。
これまで私は、著作権・知的財産権を尊重する社会を実現するためには、法と技術と教育をバランスよく組み合わせる必要があると主張してきた。法整備も技術的な保護手段も必要だが、特に学校での教育は重要だと考え、著作権を核にその範囲を情報モラルに広げて、求められれば小学校から大学まで授業や講義を行ってきた。超情報社会では、著作権や情報モラル教育は安心・安全な社会を実現する法教育としてうってつけなのだ。
そこに子どもたちを含めた若い人たちが注目するeスポーツがある。法律上の問題点は『eスポーツの法律問題Q&A』(民事法研究会)に詳しいのだが、既に明確にされている法もあるし、これから整備することが必要なルールもある。特に、eスポーツが競技である以上、選手も観客も、あるいはイベントの運営者もフェアであることが求められる。
私は少年・少女ラグビーチームのコーチにも携わっており、ケガをしないよう安全のためのルールやコミュニケーション、フェアであることを特に意識してきた。ラグビーのeスポーツ対応についても関係者と話し合いを始めている。
スポーツにはなぜルールが存在するのか。これを考えることは、なぜ社会には法律があるのか、なぜルールの順守やモラル・マナーが求められるのかを考えるうえで、大切な教材となる。eスポーツも同じだ。若者、子どもたちに人気のeスポーツをフェアに戦うための規制やルールについて考えることが、安全、安心な情報社会づくりのためにも貢献することになるだろう。eスポーツには、こうした教育効果についても期待している。
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