徳島大学発ベンチャーの言語理解研究所(ILU)では、「知識駆動型AI」と呼ぶ、自然言語処理に特化したAI技術を開発しています。今回は、ILUと同社の製品を展開するIntelligent Machines Amaze You(IMAY)のお二人に話を聞きました。
どんな会社なの? 
福田憲司
ILU
主任技師
ILUが自然言語処理に特化したAIを開発。IMAYが同社製品を世に広める役割を担っています。
ILUは、徳島大学工学部知能情報工学科青江研究室の研究成果を事業化する目的で、2002年に設立された徳島大学発ベンチャーです。対話型人工知能システム「K-laei」、感情感性情報抽出システム「C-laei」、自動記事生成・要約システム「P-laei」などの製品を開発しています。IMAYは、こうしたILUの製品を世の中に提供していくため、17年に設立されました。
何が強みなの?自然言語処理に加えて、「知識駆動型NLU」という技術を用いることで、文字の表面上には表れない間接的意図も理解できることです。
知識駆動型NLUとは、「アルゴリズムと知識データベースを組み合わせたもの」のこと。これによって、文章からの感性抽出など、「文字の表面上には表れない間接的意図も理解することができる」と、IMAYの富田厚紀・営業部マネージャは話します。

富田厚紀
IMAY
マネージャ
また、富田マネージャは、「人間同士の自由対話をアルゴリズムだけで実現するのは無理だ」と言います。ILUの技術では、「約200のアルゴリズムと約30年間蓄積してきた知識データベースの両方を駆使することで、法人で採用してもらうために必要な95%以上の精度を実現している」とアピールします。
どんな事例があるの?業種業界を問わず、文章生成の自動化やAIとの対話についてニーズがあります。
ソニー・ミュージックエンタテインメントと共同開発した「罵倒少女」では、ユーザーが行った発言に対してAIの「素子(もとこ)」が言葉を罵声で返します。こうした、まるで感情があるかのようなAIをつくれるのがILUの特徴。また、日経新聞社では、決算短信から自動で記事を作成する「決算サマリー」の運用を始めています。「例えばK-laeiではFAQ回答や商品紹介などに使われることが多い」と、ILUの福田憲司・開発本部東京開発部主任技師は話します。
よろしくILU/IMAY
今後の目標として、「世の中のすべてのキャラクターを喋らせる」「世の中にあるさまざまなデバイスをパーソナルなAIがサポートするAIをつくりたい」と、IMAYの富田マネージャ。AIスピーカーが日本でも本格的に広まり始めている今、人とともにAIがあるという世界も想像に難くありません。近い将来、いつもそばにいるAIは、ILUの技術から生まれたものかもしれませんね。ILU/IMAYは「知識駆動型AI」でイッポ前へ!