アルタは、ポータルサイトの開発と運営を中心に事業を展開しているが、自由な発想を重視し、常にビジネスを模索している。「すぐに新しいプロジェクトが生まれる。次に会うときは、新しい取り組みを始めていると思う」と鈴木常務が説明するほど、新ビジネスの展開スピードも速い。(取材・文/畔上文昭)
Company Data
会社名 アルタ
所在地 愛知県名古屋市
資本金 1500万円
設立 1998年1月
社員数 40人(フィリピン拠点を含む)
事業概要 ポータルサイト制作・運用代行、ホームページ制作、ウェブ販売促進コンサルティング、システム開発など
URL:http://alta.co.jp/
愛知から世界を目指す
鈴木篤史
常務取締役
アルタは、ポータルサイトの開発と運営を中心に事業を展開しているが、自由な発想を重視し、常にビジネスを模索している。「すぐに新しいプロジェクトが生まれる。次に会うときは、新しい取り組みを始めていると思う」と鈴木常務が説明するほど、新ビジネスの展開スピードも速い。(取材・文/畔上文昭)
また、海外展開にも積極的だ。同社が最初に支店を出したのは、フィリピン。世界展開を進めるにあたって、まずは英語圏であることを意識した。「フィリピンは、市場としてみている。現在はオフショア開発が中心だが、フィリピン国内の案件をこなすフィリピンのIT企業として、機能させたいと考えている」(鈴木常務)という。次の進出先としてベトナムを検討していて、将来的には米国への進出も考えている。
一方で、国内については名古屋の案件が中心となっていた。「世界を目指すのに、国内では名古屋が中心というわけにはいかない。日本の市場を知るには、東京に拠点を置くことも必要」との鈴木常務の考えから、今年の2月に東京に進出を果たした。ただし、東京でのビジネスは、同社がこれまで取り組んできたウェブ関連ではなく、業務システムの開発としている。その理由について鈴木常務は次のように語る。
「私が業務システムの開発が好きということもあるが、ビジネスを成長させるには、やはりこの領域が重要となる」。とはいえ、これまでの経緯から同社に業務システムの開発ができるエンジニアはいない。そこで鈴木常務は、「開発案件を獲得し、パートナーであるSIerに紹介するというコーディネートにまずは注力する。自社だけでシステム開発に取り組むようなことはしない」とSI事業について考えている。
WantsをNeedsに変える
SI事業に取り組むにあたり、鈴木常務には一つのこだわりがある。「ウォンツ(Wants)をニーズ(Needs)に変える。例えば、オフコンをリプレースしたいとの要望に対して、何をしたいか、何を実現したいかを聞き出し、最適な対応策を提示する。その時には、オフコンのリプレースは不要で、周辺のシステムとの連携のほうが最適な場合もある」。本質を見極め、潜在的な要望を顕在化するということである。
どのSIerも同様のことを考えているはずだが、簡単には実現できない。その理由について、鈴木常務は経営の視点が足りないと考えている。
「ユーザー企業が会社としてどこに向かっているのかによっても、提案の内容は変わる。ITは経営に近い。経営方針まで踏まえて提案しなければ、ユーザー企業の担当者が考える範囲を越えることはできない」と語る。
また、システムには“人”に着目することも重要だという。「HW(ハードウェア)、SW(ソフトウェア)、NW(ネットワーク)といったWがあるが、人もHW(ヒューマンウェア)と捉えて、ソリューションとしていく。システムを導入すると、オペレーションの工程が増える。そのため、人までコントロールしないと、いいシステムにならない」。ただ、これらを考慮して取り組むSIerは少ないとの判断から、鈴木常務はそこに商機を見出している。
東京支店を開設し、スタートしたSI事業。今後の展開について、鈴木常務は次のように語る。「SI事業の戦略はとくにないが、たまたま私にマイクロソフト『Office 365』の販売ノウハウがあるため、それをドアノックツールとして、ユーザーを開拓していきたい」。同様に海外展開についても、Office 365をドアノックツールとしたビジネス展開を進めている。「Office 365は世界中で利用されている。そのため、日本と同様のソリューション展開が成り立つ。フィリピンではマイクロソフトとのタイアップにより、Office 365の販売に取り組んでいる」。ただ、さまざまな製品やサービスを扱うことが基本方針のアルタだけに、時代にあわせて柔軟にビジネスを展開していくとしている。