IoTやAIによってビジネスやサービスが劇的に変わる「デジタル産業革命」が起ころうとしている。これをサポートし、産業革命を促進させようと取り組んでいるのがNECだ。NECが生み出そうとしているITの未来とは何か。(山下彰子)
NECといえば、100年以上続く老舗のIT総合ベンダーだ。携帯電話やコンシューマ向けPCなども製造していたため、メーカーのイメージが強かったが、現在は社会ソリューションを中心に事業を展開しており、スマートグリッドなどの社会インフラやFinTechなど、最新の技術開発にも力を注いでいる。
NECは事業セグメントを、政府、官公庁、公共機関、金融機関向けの「パブリック」、製造業、流通・サービス業向けの「エンタープライズ」、通信事業者向けの「テレコムキャリア」、サーバーからクラウドまで提供する「システムプラットフォーム」、セーフティ、スマートエネルギーなどを含む「その他」に大別している。
NECグループは2013年4月に発表した「2015中期経営計画」で、先進のICT技術を活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」に注力し、社会のさまざまな課題解決に貢献することで、事業規模の拡大と収益性の向上を目指す、と方向性を定めた。
新野 隆
執行役員社長 兼 CEO
さまざまな課題について、新野隆執行役員社長 兼 CEOは、世界人口の増加、人口の都市部集中、人口増加による食料需要と廃棄物発生量の増加などをあげ、「これらの地球上で起こるさまざまな問題を解決するにはICTの力が必要」だと説明している。その課題解決のための中核となるテクノロジーがIoTとAIだ。
NECは、IoTで実世界とサイバーを結び、データを見える化。AIを用いてそのデータを分析、予測を出し、対処することで顧客のビジネスモデルをサポートする。
また、IoT、AIに絡むコネクティビティ、セキュリティも提供していく。コネクティビティでは、すでに取り組んでいる衛星“はやぶさ”や光海底ケーブル、新たなネットワークとして注目を集めるSDNのほか、IoTデバイスとの通信、5Gなどの無線通信技術、変種変量データ通信を通じて、顧客のコネクティビティを最適化していく。
セキュリティでは、ITシステム、OTシステム、IoTシステムといったバリューチェーン全体を対象にした、さまざまな脅威に対応できる先端セキュリティ技術を提供する。こうした取り組みの延長線上に同社がスローガンとして掲げる「Orchestrating a brighter world」には、新たな社会価値創造の実現が込められている。次号からは社会価値創造に向けた各事業の取り組みを紹介する。