既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(47)株主総会の投票システムにブロックチェーンを活用
2017/06/28 09:00
週刊BCN 2017年06月19日vol.1682掲載
昨年は、FinTechのトレンドのもと、金融業界での実証実験が目立ったブロックチェーンだが、2017年はより幅広い用途で実証実験が立ち上がっている。株主総会での議決権行使のシステムにブロックチェーンを適用してみようという動きも出てきた。(取材・文/本多和幸)
ブロックチェーン推進協会(BCCC)の代表理事会社でもあるインフォテリア(平野洋一郎社長)は、6月1日~24日の期間で、同社第19回定時株主総会(24日開催予定)の実際の議案を使って、ブロックチェーンを適用した投票システムによる議決権行使の実証実験を行う。「希少性のあるトークンを議決権として使用することで、株主総会の主催者であるインフォテリアでもデータ改ざんができない、公正で透明性の高い投票システムが実現できることを証明する。上場企業の株主総会の議決権行使における(ブロックチェーン適用の)実証実験は、世界初の事例」(同社)としている。実証実験には、実際にインフォテリアの株主でなくても「模擬株主」として参加でき、関心のある人の参加を広く受け付ける方針だ。
票数はリアルタイムで集計が可能で、専用のアプリなどがなくても、PC、スマートフォンなどから投票ができる。また、投票期間内は24時間いつでも投票が可能で、将来的には信託銀行などからAPIによって株主情報を得ることも想定しているという。
投票システムは、プライベートブロックチェーン上に構築し、ブロックチェーンプラットフォームとしては、テックビューロの「mijin」を採用。クラウド環境には「Microsoft Azure」、結果分析のためのデータ連携では、インフォテリアの自社製品であるデータ連携ツール「ASTERIA WARP」を使っている。
実際の株主以外も模擬株主として参加可能
今回の実証実験は、「株主総会の決議にブロックチェーンが効率的に適用可能かどうか、またその効果や課題を確認するためのもの」とのことで、実際にブロックチェーンを活用した株主総会投票システムを販売する場合は、「持ち株数に応じた株主への票数の自動配布(今回は模擬株主も参加可能なため票数は自己申告)や、株主の本人確認とアカウント管理といった機能も追加実装する必要がある」としている。
グローバルでは、金融機関向けのバックオフィスソリューションなどを提供するブロードリッジが、今年4月、JPモルガン、ノーザン・トラスト、サンタンデール銀行と共同で、「議決権行使におけるブロックチェーン技術活用の実証実験に成功した」と発表した事例がある。ブロックチェーンプラットフォームとしてはイーサリアムを採用している。ブロードリッジの日本法人であるブロードリッジ・ジャパンのジェームス・マーズデン・マネージングディレクターは、「透明性、効率性の高い投票システムを、低コストで構築できることが証明でき、ブロックチェーンの用途として大いに期待できる結果だった」とコメントしている。
昨年は、FinTechのトレンドのもと、金融業界での実証実験が目立ったブロックチェーンだが、2017年はより幅広い用途で実証実験が立ち上がっている。株主総会での議決権行使のシステムにブロックチェーンを適用してみようという動きも出てきた。(取材・文/本多和幸)
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