ITを活用した新しい価値を創り出していく領域を、当社では「ビジネスIT」と定義し、成長領域の一つに位置づけている。この領域の潜在力はとても大きく、IoT/AI、FinTechといった新技術の適用先の多くがビジネスITの領域となる見込みだ。2017年は、こうした新領域におけるビジネス手法の変化への手応えを掴んでいく年としたい。
此本臣吾
社長
とはいえ、技術はあくまでも手段であって目的ではない。ここを見誤るとビジネス的な成長に結びつかない。当社の最新の生活者調査で、主なFinTechサービスへの関心を聞いたところ、強い関心をもっている層は1割ほどしかなかった。関係者の盛り上がりとはずいぶん温度差があって驚いたが、これが現実。デジタルイノベーションを起こしていくには、技術と並んでマーケティング手法も軽視してはならない。ここを端折ってしまうと本来の潜在力を見失ってしまったり、期待外れの結果になりかねない。
現状の課題分析と解決に向けた仮説立案、概念実証(PoC)へと進んでいく過程で、生活者が本当に高い関心を示すまでの“時間軸”も重要な要素となる。いわゆる「ハイプ曲線」と呼ばれるカーブでも示されているように、生活者や市場に広く評価されるまでの時間軸も見極めながらビジネスを組み立てていくことが大切だ。デジタルイノベーションに過度な期待は慎みつつも、その潜在力を過小評価してはならない。うまくバランスをとりながら新しい価値を創り出していく「ビジネスIT」を成長の柱へと育てていきたい。