視点
知財立国における人材育成
2016/09/23 16:41
週刊BCN 2016年09月19日vol.1645掲載
小学校から高等学校での段階では、中核となる科目を決めたうえで、創造力を育む教育を実施するとともに、知財の保護と活用について、その意義も含めて学ぶための教科横断的なカリキュラムを構築していくことが考えられている。
一方、大学などの高等教育では、すでに知的財産に関する科目の必修化や先進的な取り組みを展開している先行事例を参考にしつつ、知財科目の開設などの自主的な取り組みを求めている。加えて、教員養成学部においては、将来児童生徒に知財教育を実施できる教員の養成を進めていくことが求められている。
また、知財教育は地域や社会と協働して行うことが求められており、“国民一人ひとりが知財人材”を目指して、産学官が連携して学習支援体制を整備していくことになる。
これらの方針は、著作権の普及啓発活動を行ってきたACCSにとっても、山口大学において著作権教育に関する特命教授を拝命している筆者にとっても歓迎すべき状況だ。長期的には知的財産の創造と利活用がより一層進むことになるだろうし、知的財産権に詳しい人材が社会に羽ばたいていくことだろう。ひいては、日本の知的財産の価値を高め、日本が名実ともに世界一の知財立国として認められることにもなる。
しかし、次世代に期待しているだけでいいのだろうか。現時点で社会の第一線にいる者こそが、知財立国の礎となるべく、知的財産権についてしっかりとした知識をもち、知的財産の重要性を十分に理解しておく必要があることを強調しておきたい。
著作権でいえば、自らの職務と著作権のかかわりについて、部署内で勉強会を開いたり全社的な講習会を実施したりすることで知識を深めておくことなどが考えられる。また、学習の成果や理解レベルを図るために、私が検定委員長を務めているビジネス著作権検定の受験もお勧めする。
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