SoEを支える機能を備えるネットワークのマネージドサービスとして、競合サービスに対する差異化を図る「FENICS」。今後の課題は、いかにその価値を顧客や市場に理解してもらうかだ。逆説的ではあるが、キーポイントは「ネットワークを意識させない」ことだという。(本多和幸)
FENICSの販路は、ハードウェアなどと同様、富士通の直販営業と富士通パートナー経由の2種類に大別される。村田亮・サービス&システムビジネス推進本部DC&ネットワークビジネス統括部DC&ネットワークサービス推進部部長は、「以前は、ネットワークを理解している技術者が相当数いたが、今は覚えなければならないことが多く、ネットワーク関連のソリューションを扱う人が固定化されつつあるという印象だ。しかし、それはそれで知識とノウハウをもっている人がしっかり知見をためて現場から製品・サービス開発へのフィードバックをしてくれることにもつながっているので、いいことだと思っている」と分析。とくにトラブルシューティングに関しては、蓄積されたノウハウに自信をもっているという。現在の販路の状況についてポジティブに捉えていることがうかがえる。
今後、第三世代のFENICSの価値をユーザーに提案していく際には、「あまりネットワークを意識させたくない」(村田部長)という。エンドユーザーは、インターフェース側できちんとアプリケーションが動いて自分のビジネスに対する付加価値を感じることができればそれでいいわけで、バックエンドでどんな仕組みが動いているか、ネットワークがどうなっているかなどといった点にこだわる必要が、本質的にはないわけだ。村田部長は、販売戦略において何が富士通の強みになるのかという問いに対して、次のように答えてくれた。
「例えば、最新の自動車は、4Gのネットワークを使うことができて、カーナビを更新したり、交通情報を取得したりできるわけだが、ユーザーはネットワークサービスを買ったとは思っていない。同様に、FENICSの拡販に向けても、アプリケーションを買ったらそのインフラとして自然についてくるというようなかたちでの販売を増やしていきたい。その際に、きちんと全部、富士通やパートナーが面倒をみて、運用管理もコントロールできるというのが、他愛のないことかもしれないが重要だと考えている」。