年頭所感
【2016年 年頭所感・取材後記】2016年、マイペースで攻める
2016/01/21 16:05
週刊BCN 2016年01月18日vol.1612掲載
マラソンでは、走り始めてしばらくすると急に体が軽くなる。いわゆるランナーズハイの状態。ただ、そこでスピードを上げてしまうと、いずれ体が重くなり、ゴールまで体力がもたなくなってしまう。マイペースを維持しながら、誰もが苦しくなる後半での快走を目指す。
IT分野における新たな潮流として、FinTechやAI(人工知能)が注目を集めている。魅力的ではあるが、自社で積極的に投資するのではなく、スタートアップ企業との提携によってカバーするという動きが多い。いわゆるオープンイノベーションである。新たな潮流がみえても、ビジネスのペースを乱すことなく、商機があるかどうかを模索していくというわけだ。
また、日本経済が好調でも、積極的になりきれない理由がある。一つは、公共投資が一服する東京五輪後の経済不況。五輪後の不況は歴史が証明しているが、予想できるなら対策もできる。五輪後を意識した取り組みも始まりつつある。もう一つは、海外情勢。テロや紛争のリスク、新興国の成長鈍化、米大統領選挙などの影響は読みにくく、経営の舵取りを慎重にさせる要因になっている。
とはいえ、金融業界にFinTech、製造業界にインダストリ4.0、全業界が対象のIoTやAIといったように、ITに対する期待は増すばかり。「五輪後もまったく心配していない」と語る経営トップも少なくない。五輪後の経済成長を支えるのは、むしろIT業界なのである。(畔上文昭)
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