今、全国で約6500人のITコーディネータ(ITC)が活躍中である。地方のIT産業を活性化したり中小企業のIT化を促進したりする目的で2001年に誕生した資格制度で、有資格者はITと経営の両方の知識をもつ。資格保有者は全国に点在し、各地方のITCたちはコミュニティをつくって、各地方のIT産業の活性化に共同で力を尽くしている。いわば、地方にいる中小企業のIT事情を知るエキスパートだ。各地域のITCは、それぞれの地場IT産業の今をどうみているのか。この連載では、各地方のITCが届けてくれた声、地方の現実を都道府県ごとに紹介する。(構成/畔上文昭)
長野県のITC
荒井雄介 氏(長野市)
2011年12月にITC資格を取得。長野県内の中小企業向けのITコンサルティング、地方自治体向けのITコンサルティングを手がける。NPO法人の長野県ITコーディネータ協議会の理事を務める。
Q.自身の活動内容は?
A.地元中小企業を対象にITを活用した業務改革・改善支援、IT投資計画策定支援などのコンサルティング活動を、地方自治体にはIT調達支援やシステム構築におけるプロジェクトマネジメント補佐などを行っている。また、定期的に経営者、経営幹部、ITコーディネータ向けのセミナー、勉強会を開催している。
Q.地域のIT産業の活性化に必要なことは?
A.地方においてはITコーディネータに対する認知度が非常に低い。また、東京などと比較するとITコーディネータの人数も多くないため、ITコーディネータの存在を認知していただくまでに時間と労力がかかってしまう。
Q.地域のIT産業の景気は?
A.地方の中小企業では、前年と比べてITへの投資自体はそれほど多くはなっていないと感じる。ただし、クラウドやモバイル(タブレット端末)に対する認知度は確実に高くなっており、クラウドやモバイルの活用方法などに関する相談は多い。