畔上編集長が今、いちばん気になるクラウド
<畔上編集長が今、いちばん気になるクラウド>第2回 時代に合わせた新たなパートナー制度が始まる 支援プログラムはどうあるべきか
2015/04/23 20:28
週刊BCN 2015年04月20日vol.1576掲載
気になるパートナー戦略 クラウド対応の新支援制度
●パートナービジネスとクラウドサービスとの相性営業本部長
中原裕幸氏
サイボウズのパートナービジネスの始まりは、今から約13年前の2002年にさかのぼる。大企業向けグループウェアであるガルーンの発売と同時に、パートナーを通じた間接販売を始めた。これによって、中小企業に対して直販するスタイルに加えて、大企業に向けITベンダーを通じて拡販するモデルも確立した。
サイボウズのクラウドサービス群である「cybozu.com」も、パートナーを通じた間接販売でユーザーを増やしている。クラウドとパートナービジネスは相性が悪いといわれがちだが、中原氏は「それは間違っている。ユーザーのクラウドに対する関心が高まっていて、とくに中規模以上の案件ではITベンダーのノウハウを頼りにしている。市場ニーズを踏まえ、パートナーもクラウドに対して本気で取り組んでいる」と順調であることを強調している。
ただし、現状に満足しているわけではない。中原氏と栗山氏が必要と判断したのは、パートナー支援制度の刷新だ。
「パートナー制度は、ガルーンを発売したときに始めた初期モデルから、改良を重ねて進化させてきている。ただ、cybozu.comでラインアップする複数のサービスをパートナーが気持ちよく販売してもらうためには、今の支援制度では不十分だったり、ミスマッチなものがあった。利用企業が1万社を超えた今、パートナー支援制度を見直すときだと思った」と栗山氏は話す。今年度(2015年12月期)、サイボウズはパートナープログラムの刷新を予定している。
●パートナー同士の連携を推進し、共同でユーザーを獲得していく
営業副本部長
栗山圭太氏
具体的には、営業に強い「セールスパートナー」、開発に強い「開発パートナー」、ユーザー企業の課題を分析して、最適なITシステムを提案する「コンサルティングパートナー」に区分けする。
「パートナーは、それぞれ強みがあり、弱みがある。強みを伸ばし、弱みを私たちや、他のパートナーが埋められるようにすることが今回の新支援制度の目的」と中原氏は語る。新支援制度を提供することで、パートナー同士が連携し合い、共同でユーザーを獲得できるような取り組みや仕掛けを推進していくという。
「パートナーは着実に全国に広がっているが、ある地域では顧客を獲得できてもアプリケーションの開発リソースが足りていなかったり、逆のケースもある。こうした受給のアンバランスさを解消して、ユーザーとパートナーの双方が高い満足度を得られるようにする。今年度から新たなパートナービジネスが本格的にスタートする」と中原氏は言い切る。
今後の成長にはパートナーとのさらなる協業関係が欠かせない。サイボウズは、それを新規パートナーの獲得に注力するのみではなく、パートナーが抱える課題など、一歩踏み込んだ支援策で差異化を図っていく考えだ。
編集長の眼
パートナーのビジネスに変革をもたらす
「素直にパートナーの力を実感している」と栗山氏。クラウドは導入コストが小さいことから、パートナーが敬遠するというのはよくある話だ。ところが、サイボウズのパートナー数は順調に増えているという。それを可能にしているのは、クラウドという時代の流れだけではない。サイボウズのクラウドには、パートナーのビジネスに変革をもたらす力があるからではないか。例えば、ガルーンの販売が中心だったパートナーが、kintoneによってシステム開発を手がけるようになる。ユーザー企業が望む短期間のシステム開発にも、kintoneなら応えられる。さらに、パートナー同士で補完し合える支援制度が用意されるのも心強い。 次回のテーマは、サイボウズの主力製品であるクラウド版ガルーンの製品戦略とパートナー戦略。難しいとされるパッケージ製品のクラウド化に成功したサイボウズの取り組みに迫る。
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