霞が関のリーダーに核心をただす!

<霞が関のリーダーに核心をただす! IT政策をどう進めるかネックは何か>経済産業省 情報通信機器課長 荒井勝喜 氏 ――現在進行中の注力事業

2014/05/29 16:04

週刊BCN 2014年05月26日vol.1531掲載

語る人
荒井勝喜 氏
経済産業省 情報通信機器課長

プロフィール 1991年、通商産業省入省。1994年、ペンシルバニア大学ウォートン・ビジネススクールに留学し、帰国後、大臣官房広報課長補佐。以後、公正取引委員会経済取引局調整課長補佐、経済産業政策局産業組織課長補佐、製造産業局政策企画委員、経済産業局政策課企画官などを歴任し、昨年7月より現職。


産業界の窓口を一手に引き受ける

 ITやエレクトロニクスに関して、ハードウェアやソフトウェアという区別をせずに、日本の関連企業や産業の発展につながる施策全般を手がけるのが、経済産業省情報通信機器課のミッションである。

 以前は、ハードが情報通信機器課、ソフトが情報処理振興課の担当だといわれていたが、その境目はどんどん曖昧になってきている。家電量販店なども守備範囲で、生産から流通販売まで、ITに関しては幅広く産業界の窓口になっている。

 各産業、企業と密にコミュニケーションを取って、個別の相談を受けることも多い。日本企業同士や、日本企業と海外企業との連携、提携の話などを、情報通信機器課が間に入ってうまくつなぐような仕事もやっている。

 今年度、研究開発では、情報処理振興課、情報経済課と同様、エネルギー対策特別会計で新規事業のための予算を確保している。それが、「クリーンデバイス多用途実装戦略事業」だ。

モノとアプリケーションを融合

 IT、エレクトロニクス分野はグローバル競争が激しいので、日本企業はなかなか業績が芳しくないところが多い。それでも日本はまだ、ものづくりが非常に強いといえる。しかし、半導体でも液晶ディスプレイでもそうだが、単なるモノとして売るだけでは付加価値はどんどん小さくなっていく。こうした課題を乗り越え、日本企業が利益を確保していくためには、モノの新しい用途を開拓し、アプリケーションまで組み合わせたかたちで売っていかなければならないだろう。

必要な技術を標準化してビジネス基盤に

 例えば、半導体やデバイスを組み合わせて、自動車の自動走行支援に使えるシステムをつくるようなことをやってみるということも考えられる。

 この事業のアウトプットは、単なるコンシューマ製品の市場開拓にとどまらない。自動車やインフラ、エネルギー、ヘルスケアなどの領域に、デバイスとアプリケーションを組み合わせてシステム化した提案をするために、必要な技術を標準化、共通化するなどし、ビジネス基盤を整備していこうというのが基本的な考え方だ。(談)(本多和幸)

組織の概要
 ITやエレクトロニクス産業の発展につながる政策の企画・立案を担当する。個別の研究開発や国内の設備投資促進支援も重要なミッション。
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