燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~
<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> 充実した人材育成プログラム。女性向け講座も好評――東芝ITユーザ会
2013/11/22 20:28
“人材育成”に注力
東芝ソリューション営業統括部 東芝ITユーザ会運営部の寺尾昌則部長は、「今は会の役割を見直すべき時期なのかもしれない」と語る。汎用機やオフコン全盛の時代は、今よりもユーザー側が積極的に情報を収集していた。情報共有の場も、ユーザー会が頼りだった。「昔はOSの改定などがあると、コマンドがどのように変わったのか、強化のポイントはどこかなど、ユーザー側が情報をほしがっていた」(寺尾部長)。ところが、オープン化が進んだことや、情報をウェブで簡単に入手できるようになるなど、ユーザー会を取り巻く環境は大きく変わった。とくに歴史のあるユーザー会は、こうした環境の変化にどのように対応するかという課題を抱えている。その打開策の一つとして、TUGが力を入れているのが人材育成だ。TUGはIT系のユーザー会なので、当然ながら分科会(システム研究会)ではIT関連のテーマに取り組んでいる。例えば、2013年度は「要件定義の書き方」「スマートデバイスの業務活用」「経営に貢献する運用管理」などが分科会のテーマだ。とはいえ、単なるITの勉強会にはしない。分科会のテーマとともに重要視しているのが、コミュニケーションとリーダーシップだ。そこに、TUGの人材育成に向けた高い意識が盛り込まれている。
直球の人材育成プログラムも、コミュニケーションスキルを上げるための「ヒューマンスキルアップ研修」、自分の魅力を引き出す「パーソナルセミナー」、自分の強みや弱みを知るための「モチベーションアップと職場の活性化セミナー」など、多数提供されている。なかでもユニークなのは、社会人としてのマナーを学ぶ「新入社員研修」や「マナー研修」だ。会員企業の人事部としてもありがたいセミナーである。
リピーターも多い「女性講座」
さまざまな活動のなかで高い評価を得ているのが「女性講座」だ。参加者はもちろん、講師、運営スタッフも女性で、男性はいっさい近づけない。東芝ITユーザ会運営部の伊藤信孝主任は「女性講座を用意するのは、TUGには男性が多く、女性が参加しにくいのではないかと考えたから。何かきかっけがないと、なかなか女性には参加してもらえない。メンバーを女性に限定すると参加しやすいと好評だ」と語る。リピーターも多いという。TUGの楽しさを垣間見ることができるのが、季刊の会報誌『TUG NEWS』だ。開くと、どの写真も笑顔で溢れている。例えば、組織の新体制を掲載した春号を見ると、会長や役員などの紹介写真まで笑顔。もちろん、分科会や研修の活動風景を写した写真も、笑顔ばかりでとても楽しそうだ。
「会員の声を取り入れて、ほかにはない手づくり感のあるユーザー会を目指してきた。今後もニーズを探りながら、現状に合うユーザー会を目指していきたい。例えば、若手の方々には異性との出会いがないという話があるので、場を提供することも考えよう、とか」と伊藤主任。会員のニーズは果てしない。
TUGの会員は約450社。歴史のあるユーザー会としては、決して多くはない。会員を増やすことも考えているが、それを優先事項にはしていない。「数よりも質で勝負したい。こぢんまりしているが、ちょうどいい規模感」と伊藤主任は考える。
2015年で創立50周年
TUGの起源は、1965年10月にスタートした「TOSBAC研究会」にある。その名が示す通り、汎用機などの東芝製コンピュータ「TOSBAC」の研究会としてユーザー企業が集まった。スタート時の会員数は21社で、1990年のユーザー会設立20周年を機に「東芝コンピュータユーザ会」に改称、2004年に「東芝ITユーザ会」(TUG)へと変更し、現在に至る。現在、2015年の創立50周年に向けた企画を練っている。寺尾昌則部長(写真左)、伊藤信孝主任
入会資格: 東芝ソリューションや東芝ソリューショングループのシステム、ソリューション、サービスを利用している企業・団体
入会金: なし
会費: 2万4000円/年
会長: 藤原 格(日野自動車)
主な活動: 特定のテーマを研究する分科会と、その成果発表会。総会やシンポジウム、海外研修は定期的に実施。e-ラーニングのほか、講師を派遣する出張教育も実施
会報誌: 『TUG NEWS』(年4回発行)
会員企業数: 約450社
発足: 1965年
その他: FISA(情報システム・ユーザー会連盟)に加盟
イベント/セミナー: 定例総会(毎年7月開催)。無料の講演会のほか、有料セミナーや有料講座なども開催
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