視点
「鶏ちゃん」ブームの裏にスマートフォンあり
2013/08/22 16:41
週刊BCN 2013年08月12日vol.1493掲載
いま「鶏ちゃん合衆国」というコミュニティが岐阜で賑わっている。なんでそんな命名なのかというと、鶏ちゃんの味つけは地域や店舗によって実にさまざまで、その多様性をまとめるには緩やかなネットワーク化しかないということで、合衆国としたようだ。地方の伝統的で素朴な味の深みとそのレシピの多様性の対照性こそが食文化の先端性だという自負がみられる。
とすれば、これをネットワーク環境で支援するスマートフォンツールをつくるというのは想定の範囲内である。岐阜県お馴染みの緊急雇用対策で、「スマートフォンアプリ開発人材育成事業」の研修生がわずか1年の研修で、よくできた「鶏ちゃん合衆国アプリ」を開発し、最近リリースした。店舗情報を徹底してオープンにして、各店舗が個性を競いあうことで、郷土料理としてブラッシュアップされ、だからこそ鶏ちゃんブランドを求めて県外の観光客が岐阜にやってくる、という好循環のビジネスモデルを想定したものだ。いかにすればリアルな現場で利用され、そのビジネスを活性化することができるか、そのことがスマートフォンの価値を決める基準になっている。
地方はいま必死になって小さな成長戦略を模索し、実践している。隠されたご当地B級グルメが外部の人に伝わると、一気にブレークするチャンスが広がる。食文化ばかりか、地方の伝統がもつ文化資源を、スマートフォンのようなコミュニケーションツールと連動させることで、これまでなかった価値を創出する、そんな戦術を指向するのが岐阜県の情報政策なのだ。スマートフォンはそんな地方の価値を伝える大切なツールなのである。
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