視点
主流になる「多様な働き方」への支援
2013/07/18 16:41
週刊BCN 2013年07月15日vol.1489掲載
しかし、現実は、難しい諸問題が山積みとなっている。とくに、少子化に歯止めがかからなければ、日本に未来はない。このような現実も踏まえて、アベノミクス3本目の矢では、「成長戦略の中核」として女性の活躍を中心とする労働市場の制度改革が明言された。
女性の活躍の具体策としては、5年間で待機児童ゼロを目指す。また、現在1歳半まで認められている育児休業期間を3歳まで延長することを軸としている。子育てしやすい環境の整備をすることによって、労働力人口の減少にも歯止めをかけるという内容である。
さらに、今後、働く現役世代に大きな課題となってくるのが、介護の問題である。厚生労働省の予測によれば、年金関係の支出額の増加よりも医療や介護の支出額の増加割合が倍以上の伸びとなっており、その財源確保も課題となっている。それ以上に急務の課題となるのは、介護をしながら働ける環境の整備だ。
育児や介護に関しては、労働者が請求をすれば、一定の期間、会社は義務として休暇を与えなければならない法律は整備された。さらに、その一定期間に対して、国から給付金を支給することにより、休業しやすい環境も整えた。それにもかかわらず、現実は実効性のある制度として機能していない。そこで、子育てと介護、この二つの場面で仕事と家庭を両立できるように、多様な働き方が提案されている。
東京都では、「ワークライフバランス推進助成金」をつくり、6月下旬から12月下旬まで助成金申請の受付を行っている。都内に本社を置く従業員300人以下の中小企業や団体に対して、仕事と生活の両立を図るために在宅勤務、モバイル勤務といった多様な勤務形態の実現など、ワークライフバランスの推進にかかる経費の助成を行うもので、以下のような費用に対して最大100万円の助成金が支給される。
・在宅勤務制度導入のための環境構築
・リモートワーク環境の構築
・モバイル勤務環境の構築
・シンクライアント端末、モバイル端末などの費用
・システム構築費用、関連ソフト利用料
東京都だけでなく、助成制度を設けている自治体は多い。また、今後は、国の助成金も多様な労働環境整備にシフトしていくものと思われる。
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