視点
投資の対象となり得る太陽光発電
2013/05/30 16:41
週刊BCN 2013年05月27日vol.1482掲載
現在の太陽光発電事業の判断基準は、初期費用を10年以下で回収、または表利回り10%以上というのが目安になっている。例えば、1MW(1000kW)の太陽光発電システムの発電量は、地域によって違いはあるが、年間約100万kWhの発電量が見込めて、売電収入は3780万円(税込)となる。
事業の判断基準に当てはめてみると、初期費用が3億7800万円以下であれば条件を満たすことができる。この規模での初期費用を2012年10月以降の平均価格を用いて計算をすると、2億8000万円(28万円/kW)となるので、毎年の税金・保守管理費・保険料などの経費を差し引いた実利回りでも10%前後を確保することができるというわけである。
税制優遇制度の面でも「グリーン投資減税」が来年3月末まで延長となり、初期費用の一括償却が引き続き活用できることも後押しをしている。さらに、銀行や信販会社等が太陽光発電専用の融資制度を提供し始めており、手元資金がなくても太陽光発電事業を行うことが可能となった。太陽光発電専用の融資制度は、電力会社との受給契約書に債権質権を設定して15~20年返済の融資を行う制度である。太陽光発電事業による20年間の損益計算書・キャッシュフロー計算書を提出することによって、融資の可否が決定される。
制度面でみると引き続き太陽光発電事業は投資対象として伸びていくことが期待されているが、懸念がないわけではない。太陽光モジュールの生産が間に合わず、納入に1年かかるという国内メーカーも出てきていることもあって、年度内に発電を開始しようとする場合はメーカーの選択肢が限られる可能性がある。また、円安によって海外メーカーのモジュールの価格が上昇していることや、日射量の多い好条件の土地価格などが高騰していて、初期費用が上昇傾向にあることも懸念材料だ。さらには、太陽光発電システムの設計・工事に経験豊富な人材が不足していて、発電開始後にトラブルが発生するケースもある。したがって、価格面だけでなく、実績・経験が豊富な太陽光発電システムの販売施工会社を選定することが重要となる。
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