視点
高齢化社会と光ファイバー
2013/05/16 16:41
週刊BCN 2013年05月13日vol.1480掲載
最も驚いたのは、小学校の休・廃校の数である。10年前には三好市全体で56校あった小学校のうち28校が休・廃校になっている。休・廃校後の小学校の活用もテーマの一つであった。休校にしたままで施設を貸し出すとなると、さまざまな制約があるうえに、補助金を返還しなければならない。ところが、廃校にすると、そうした縛りがなくなる。廃校は、通っていた小学校がなくなるというイメージで抵抗感があるので、地元の方々に説明会を開いて、処理をしている。
話を元に戻そう。企業誘致の一つのカギが、光ファイバーの整備である。徳島県は、他の県と比較しても光ファイバー網が十分に整備されている。進出した企業のサテライトオフィスを見学させていただいたが、24時間常時接続のテレビ会議システムを使い、東京のオフィスと常に会話をしている。まったく違和感がなかった。進出企業のオフィスは、5年前に廃業した老舗旅館の一角である。ここに、4名の雇用を生んだ。データ処理化やコールセンター機能を担っている。
進出企業には、県と市の補助金が支給される。1名の雇用で30万円、設備投資費用に関しては最大4分の3が補助される。とくに補助金が手厚いのは、デジタルコンテンツ事業やクラウド事業などである。光ファイバーをフル活用してもらいたいという狙いがある。
この視察には、東京から5社の参加があった。魅力を感じている企業がほとんどであったが、要の部分は「人材」である。すぐれた人材を確保できるのか。これが、視察参加企業の最も重要視する点であった。
この視察は、私にとっては衝撃的であった。地方が抱える問題を直にみることができた。三好市のように、企業誘致に積極的に取り組んでいる自治体はほかにもあると思われるが、企業誘致の環境整備までには至っていないところが多いのではないか。
少子化と高齢化、人口流失という課題を多くの市町村が抱えている。この欄で何度も指摘してきたことだが、早めに手を打たなければ、日本の未来が危ない。
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