IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>122.東北の復興支援(下) ITCとベンダーのwin-win関係を構築

2013/04/11 20:29

週刊BCN 2013年04月08日vol.1476掲載

日立システムズ
ネットSaaS推進本部
山野浩主管技師長
 日立システムズと地元のITコーディネータ(ITC)が提携して、福島・岩手・宮城3県の中小企業のクラウド利用を促している。この動きの背景には、これまでクラウドに無関心だった東北3県の中小企業の間にも、スマートフォンの普及を追い風として、クラウドの認知度が高まっているという事情がある。

 被災地では震災後、電話回線が途切れた状況にあっても情報交換ができるツールとしてスマートフォンが注目され、購入する人が相次いだ。そして、その延長線で、震災から2年が経過した現在、中小企業でもスマートフォンを利用する人が増えて、クラウド利用への関心が高くなっている。ベンダーやITCにとって、クラウド型のサービスを提案するチャンスだ。

 しかし、ハードルは決して低くない。日立システムズのネットSaaS推進本部で主管技師長を務める山野浩氏は、「東北3県では、ビジネスは再開してもまだ軌道に乗っていない中小企業が多く、ITの活用に投資するフェーズには達していない」という。こうした状況を打ち破るために、今回、中小企業向けクラウドサービス「Dougubako」を6か月間、無償で提供するキャンペーンを開始したのだ。

 地元のITCは、無償提供期間の6か月間を生かしてユーザー企業の業務を分析し、いろいろなクラウド型アプリケーションの利用を試みる。そして、キャンペーン終了後、どのようなアプリケーションをクラウド化すれば、コスト削減や業務効率にメリットが打ち出せるかをユーザー企業と一緒に考える。キャンペーンが始まったのは今年3月で、ITCの本格的な動きはこれからだ。

 ITCは中立的な立場であることから、日立システムズ単独のクラウドサービスをユーザー企業に紹介することはしない。この前提の下に、日立システムズはITCとwin-winの関係を築き、自社サービスを積極的に紹介してもらうように工夫している。「ITCに当社のクラウド基盤を提供し、ITCは生産管理など、自分の得意なアプリケーションをユーザー企業にクラウド型で提供する仕組みをつくっている。ITCと一緒に、クラウド利用を普及させたい」(山野主管技師長)と語る。(ゼンフ ミシャ)
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