IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>120.イーエスケイ(下) 農家の生産管理を支援

2013/03/28 20:29

週刊BCN 2013年03月25日vol.1474掲載

 千葉県木更津市でシステム開発を手がけるイーエスケイ(片山健史社長)は、堀明人ITコーディネータ(ITC)と協力して、農業生産者向けアプリケーションを開発することにした。自らが就農者でもある堀ITCは、「農業は一生続けられる仕事。ITCとの兼業で始めた。畑に出るたびにいろんなことを学んでいる」というように、農業に関する知見が豊富な人物だ。イーエスケイと堀ITCが農業生産者向けアプリの開発に着手したのは2011年。千葉県内の10軒ほどの農家での実証実験を経て、12年10月にAndroid対応のアプリ「畑らく日記」の提供を開始した。

 「畑らく日記」は、作物の状態や作業の状況、収穫した数量・単位などの情報をAndroidのスマートフォンで記録して、クラウドで連携したパソコンから管理できる仕組みになっている。堀ITCの発案で、作業記録をほかのユーザーと共有する機能を搭載した。ユーザーは、全国各地の生産状況を簡単に把握できる。また、「農家にとって、何百万円もかけてシステムを導入するのは現実的ではない」(片山社長)とみて、アプリの基本機能を無料で提供している。有料版は、作業記録をカレンダー形式で表示したり、アメダスの情報を表示したりできる機能を搭載して、今年3月末に提供を開始する予定だ。

 「畑らく日記」の最大の特徴は、作業記録を音声で入力する機能を搭載していることだ。堀ITCは、「自身の農業従事者としての経験と、実証実験での農家の声などから、手間がかからない音声入力の機能にはニーズがあると確信した」という。実際に、ユーザーからは音声入力の簡単さが高く評価されており、提供開始から約5か月間で約500軒の農家が利用を始めている。

 今後について片山社長は、「まずは日本全国の農家に使っていただき、生産管理に必要不可欠なインフラにしてもらいたい。ユーザーが増えてインフラ化が進めば、蓄積されていくデータを分析して活用したり、他の大手ITベンダーの農業向けシステムと連携したりすることも視野に入れている」と、ビジネス成功への道筋を示している。(真鍋武)

音声入力で簡単に記録できる
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