視点

再生可能エネルギー先進国の恩恵

2013/03/14 16:41

週刊BCN 2013年03月11日vol.1472掲載

 太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの普及促進の最先端をいくドイツでは、2000年4月に固定価格買取制度が施行され、2020年までに総発電電力量(kWh)の18%を再生可能エネルギーでまかなう計画が進められている。

 ドイツのフライブルクにあるフラウンホーファー研究所の発表では、2012年における太陽光・風力発電の総発電電力量に占める割合は、14%(太陽光:5.1%、風力:8.9%)に達しており、計画は順調に進んでいるようだ。太陽光発電の発電容量は3176.9万kWであり、2012年11月末時点での国内固定価格買取制度における太陽光発電設備認定容量が326.2万kWであったことと比較すると、実に10倍の太陽光発電が既に稼働していることになる。

 一方で、賦課金による電力価格の値上げが大きな負担となり、ドイツの再生可能エネルギー政策は失敗とまでいわれているが、果たして日本にはそのまま当てはまるのだろうか。

 ドイツは、2004年に再生可能エネルギーの買取価格を引き上げて普及を促進した。その時の買取価格は、太陽光で約57セント(57円)/kWhだった。その後、段階的に引き下げられ、2012年時点では約24セント(24円)/kWhとなっている。この8年間で設置された再生可能エネルギーの買取電力分が賦課金として現在3.6セント(3.6円)/kWhの負担となっている。この間、太陽光発電設備費用もモジュール生産量増加や発電効率向上などによって50%以上安価となり、今では20万円/kWを切る価格で設置できるようになっている。

 日本は、昨年7月から本格的に固定価格買取制度がスタートし、太陽光発電の買取価格は40円/kWh(税抜)となったが、ドイツがスタートした時よりも初期の設備費用ははるかに安くなった時点からのスタートとなり、8年後の2020年でたとえドイツと同等の発電容量を達成目標としたとしても、買取価格を市場形成に合わせて適正・段階的に下げてグリットパリティ(再生可能エネルギーによる発電コストが既存の電力のコストと同等以下になる)に近づければ、賦課金による電気料金の値上げはドイツほど必要なく達成できるといえる。

 日本は欧米の再生可能エネルギー先進国の恩恵に預かることで、国内再生可能エネルギーの普及促進を図ることができることを認識し、技術革新をさらに進めて、世界の環境エネルギー問題の解決に貢献すべきだと思う。
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