IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>106.吉田桶樽商店(上) ウェブで木製桶樽を訴求

2012/12/13 20:29

週刊BCN 2012年12月10日vol.1460掲載

 福井県小浜市に本社を構える吉田桶樽商店は、木製の桶樽を製造する、1927年創業の老舗メーカーだ。当時は、酒の醸造用大桶の製造を手がけたが、現在は、食品を包装するための化粧樽をつくっており、全国の食品メーカーに卸販売している。

 同社は、三代目の店主、吉田嘉男氏を中心にして、スタッフが積極的にウェブの活用に取り組んでいる。2011年10月に、福井県を活動のベースとする先織久恒ITコーディネータ(ITC)とともに、ホームページを立ち上げた。オンライン販売によって販路を広げ、新規顧客を開拓しながら、売り上げを10%ほど伸ばした。

 吉田桶樽商店のウェブ活用のきっかけは、東日本大震災以後、全国で原子力発電所が稼働停止になったことにある。小浜市の近くに関西電力が運営する大飯原子力発電所が建っており、原発関連の仕事が地元の経済を支えてきた。ところが、震災後に大飯原発が停止されて、多くの人が職を失い、小浜市の景気は一気に冷え込んだ。そうしたなかで、吉田桶樽商店をはじめとする地元の事業者は、新しい販路の開拓を目指し、ホームページの立ち上げに力を入れてきたという経緯がある。

 「自社の“売り”を前面に押し出すべき」という先織ITCのアドバイスを受けて、ホームページでは、プロのカメラマンが撮影した写真を掲載して木目の美しさを視覚に訴えている。また、アンケートに基づく木製品の優位性も訴求する。先織ITCは、「地元で開かれた食品関連の展示会で、『プラスチック製樽と木製樽に入った商品がある場合、どちらを選ぶか』についてアンケートを取ったところ、回答者の83%が「木製樽を選ぶ」と答えた。このアンケートの結果を吉田桶樽商店のホームページで紹介して、木製樽のよさを伝えている」という。

 吉田桶樽商店は、ホームページを作成するツールとして、1年間無償で使える「みんなのビジネスオンライン(みんビズ)」を活用した。「みんビズ」はあくまでも作成ツールなので、経営計画の立ち上げやホームページの具体的な活用方法に関しては、先織ITCが吉田桶樽商店をサポートするかたちをとった。(ゼンフ ミシャ)

「美味しさと高級感を引き立たせる」。ホームページで木桶・木樽の美しさ、木のぬくもりをアピール
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