IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>105.クラウドサービスの普及(下) 目利きしたサービスを用意

2012/12/06 16:04

週刊BCN 2012年12月03日vol.1459掲載

 日本ユニシス(黒川茂社長)は、中小企業へのクラウド普及を目指して、2010年に製造業支援SaaS普及協会を立ち上げた。ミキ情報システムや日揮情報システムなど10社ほどの中堅・中小規模の企業が会員となっている。クラウドサービスが氾濫するなか、日本ユニシスが目利きしたサービスを用意することで、中小企業のクラウド利用のハードルを下げる狙いがある。

 協会は、クラウドサービスに関する問い合わせ・相談窓口となって、ITの利活用に関する無料診断や有償のITコンサルティングサービスを提供する。一方で、会員企業に対しては、セミナーなどのプロモーションの企画・運営支援をしたり入会の問い合わせなどに応じたりする。

 中小企業との接点を増やすために、商工会議所や地方銀行、信用金庫、ITコーディネータ(ITC)などのチャネルとの連携を深めている。ITC群馬の理事長を務める木島隆ITCは、「クラウドはITCにとってもチャンス。リスクが少なくて提案しやすいし、設定から運用までの一部分を担うことができる」と語る。日本ユニシスの山本隆典・U-Cloud事業部事業企画部ビジネス企画プロジェクトマネージャーは、「単にクラウドサービスについての講演を開いても、中小企業の経営者には話を聞いてもらえない。ITCにサービスの紹介を手伝ってもらいたい」と話す。

 ただ、クラウドサービスについてITCが詳細な情報を入手する機会が十分に整っているとはいえないことが課題だ。「ITベンダーにはもっと積極的に情報を提供してもらいたい。相当の知識がなければ、専門家として中小企業にクラウドサービスを勧めることができない」(木島ITC)。山本プロジェクトマネージャーは、「ITC向けのセミナーを開催し、扱っているクラウドサービスについて理解を深めてもらうようにしている」と説明する。このほか、ITCへのインセンティブの付与も検討しているという。

 日本ユニシスは、製造業支援SaaS普及協会のロードマップとして、第1フェーズを実績づくり、第2フェーズを地域の情報サービス産業協会との連携を通じた事業モデルの他業種への横展開、第3フェーズを他業種の企業との協業推進や地域産業コミュニティの育成による“地産地消”モデルの構築──という図式を描いている。(信澤健太)
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