IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>104.クラウドサービスの普及(上) 潜在ニーズを掘り起こす

2012/11/29 20:29

週刊BCN 2012年11月26日vol.1458掲載

 国内クラウド市場は急成長を続けている。だが、調査会社のノークリサーチによると、クラウドサービスをすでに活用している年商5億円以上50億円未満の企業は、14.6%にとどまるのが実情だ。

 中小企業にクラウド普及の余地がないわけではない。むしろ、ITベンダーが気づかない領域で、中小企業はクラウドの潜在的ニーズを抱えている。さまざまな業種・業態の企業にとって、事業に役立つ手段になり得るはずだ。ITコーディネータ(ITC)の活躍が期待されるのは、こうした見えづらいニーズの掘り起こしと、ITベンダーとの橋渡し役である。

 木島隆ITCのもとには、多くの中小企業から相談が寄せられる。例えば、映画の予告などの制作を手がけているある映像スタジオ。拠点間で大容量データの授受が発生することに悩んでいた。

 地域ごとの映画の公開時期の間隔が短くなるなかで、大容量データの扱いはやっかいな問題だ。無料のファイル転送サービス「宅ふぁいる便」を活用することを検討したが、データ保証の問題や転送データ量の制限があって断念。解決策を模索していた。

 木島ITCは、日本ユニシスにこの話をもちかけた。日本ユニシスから紹介を受けたのが、子会社のネットマークスが販売するファイル転送サービス「aspera」だった。パブリッククラウドサービスの「ニフティクラウド」を採用し、オンデマンド形式で利用できる仕組みを提供している。木島ITCは、「クラウド上で高速にファイルを転送できる」と評価。現在、見積もりを取っている段階だという。

 木島ITCは、こんな事例も挙げた。群馬県のプレス工業会が開催している勉強会に招かれて、クラウドについて説明をする機会があった。SaaS/PaaS/IaaSという用語などについて解説したが、「初歩的なことでも意外に理解されていないという印象をもった」という。現在は、日本ユニシスが事務局を務める製造業支援SaaS普及協会との連携を模索中だ。(信澤健太)

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