視点
7インチタブレットが業務革新を促進する
2012/11/22 16:41
週刊BCN 2012年11月19日vol.1457掲載
私は初代iPadが発表された3年半前に、スマートフォンとタブレットデバイスは7~8インチサイズに収斂されてくるだろうと予測していた。今の状況は、その予測の通りになった感がある。
この7インチ周辺の画面サイズのタブレットは、かねてからサムスンや東芝などから複数の機種が投入されてきたが、今ひとつ市場の盛り上がりに欠ける面があった。Appleが満を持して参入したことで、これまでのモデル同様、コンシューマ領域を席巻することが容易に想像できる。「カバンに入れても苦にならず、片手でずっと持ち続けていられるタブレット」は、これまでタブレットを手にすることがなかった女性や、スマートフォンでは満足しきれないモバイルワーカーたちから注目を集めている。
かつてこのコラムで書いたように、7インチ周辺のタブレットはまだ使い方が確立されているとはいえない。法人においては、パソコンが貸与されてこなかったか、特殊で高価な業務端末の利用を強いられてきたようなモバイルワーカーたちにこそ、この小さな画面の汎用的なタブレットは業務利用に向く最適な端末といえるのだ。これら卸、金融・保険、不動産、建設、医療福祉といった業界を中心とするモバイルワーカー達の生産性は、他の業界や職種の生産性と比べると近年著しく低下していることが多く、大きな課題となっていた。
これらの業界の共通性としては労働集約型の業態であり、人に業務がついてしまう属人的なワークスタイルとなっていることも多く、なかなか業務改革が進まないというネックがあった。また立ち作業が中心となるワークスタイルに対しては、仕事に役立つ有力なツールが出現したことになる。モバイルワーカーたちにとっては、使い慣れたタブレットやスマートフォンを業務でも活用できるという道が開けるし、クラウドサービスなどとあわせてユーザー部門に提供することで、安価にかつスピーディに導入することができるので、獲得できる効果も自ずと高まるはずだ。
これまで利用してきたデバイスと異なるこれらのモバイルデバイスの導入によって、ICTが行き届いていなかったワーカーたちの業務を革新し、創意工夫溢れる新しい業務にシフトできることを願ってやまない。
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