日本クエストのソフト群に見る一考察
<使いやすいIT管理製品とは?――日本クエストのソフト群に見る一考察>4.仮想化環境の運用を見直す特効薬 モヤモヤした管理体制を可視化する
2012/11/08 20:29
週刊BCN 2012年11月05日vol.1455掲載
システムコンサルタント
古山早苗 氏
日本クエスト・ソフトウェアの古山早苗・システムコンサルティング部システムコンサルタントは、「多くのシステム担当者が仮想化環境の管理・運用に悩んでいる」としたうえで、「vFoglight」が顧客に求められている理由を次のように説明する。
「これまでは、仮想化環境を構築することが目的だった。しかし、実際に運用を始めると、物理環境と同様に障害発生場所の早期発見や原因の特定方法、健全さを証明することやシステム増設時にどの程度の仮想マシンをつくれるか明確に説明できないという問題に直面することとなった」。多くのシステム担当者は、モヤモヤした状況のままで仮想化環境を運用し、物理環境では可能だったシステムの状況把握(モニタリング)ができていないのだ。
仮想化環境とはいえ、すべてのインフラが同じワークロードで動いているとは限らない。当然ながら、システムトラブルも発生する。自社システムをモニタリングできていないということは、システムトラブルの原因となるパフォーマンス不足を補うために、必要以上のインフラを備えている状況が想像される。サーバー台数を減らして保守費用を削減するという目的で導入したはずの仮想化環境は、そのメリットを十分に享受できていないというわけだ。
「vFoglight」は、「こうしたモヤモヤを解消する製品」(古山システムコンサルタント)と自信をみせる。例えば、パフォーマンス管理面では、次のような課題がある。ノウハウの蓄積が不十分であったり、VMwareの「VMware vCenter Operations Management Suite」のアラート機能を使っていてアラームの精度が高すぎるので監視項目を減らすことや、仮想マシンの障害影響範囲の特定が困難で障害後の問題対応に時間を要する──といった問題だ。これに対し、「vFoglight」は、ダッシュボードを見れば障害発生の原因が素早く把握でき、インフラ増加率を自動検出して将来的に発生する障害に事前に対処したり、状況分析にもとづいてアラームを定義することができる。
また、仮想化環境のパフォーマンス管理をするために物理サーバーのフレームワークをもとにした市販の統合運用管理製品を使っている企業も多いはずだ。だが、「vFoglight」は仮想化環境のパフォーマンスを数値化してGUIで見ることができるので、“見え方”が明らかに異なる。そのため、最近では、市販の統合運用管理製品のエージェントで見えない仮想化環境をモニタリングする情報系のツールとして「vFoglight」と並行利用する顧客も増えてきているという。
一方、仮想化環境のキャパシティ管理についても、課題は山積している。多くの企業は、将来にわたるキャパシティを明確に計算できず、“Over-allocation”、つまり「性能障害が起こらないだろう」という目測でオーバースペックなインフラを構築するケースが多い。また、利用段階になっても、当初の初期構築時の設定のままで、定期的な運用検証もせず、リソース不足が発生するたびにVMwareの「ESX Server」などインフラを増強するので、コストは肥大化する一方となる。古山システムコンサルタントは「今動いている仮想化環境にアプリを追加する場合、追加して本当に動くかの確証がない」ケースが大半という。
その点、「vFoglight1」は、モニタリングで取得した情報から残りのリソースを試算し、「仮想マシンを何台追加できるか」を数値で示す。仮想化環境の余力が視覚的に確認できるのだ。さらには、リソースのボトルネックを把握し、適切な投資先を特定したり、システム内に無駄なリソースやリソースの足りない箇所を特定し、最適な配分プランをレポートとして提示する。「『vFoglight』の最大の特徴は、実際にリソースを増やした際、期待する効果が得られるか将来予測を実データでシミュレーションできることだろう」(古山システムコンサルタント)と話す。
「vFoglight1」には、オプションとして「vFoglight Storage」がある。ストレージのパフォーマンス低下による仮想マシンへの影響度を特定し、問題解決するソリューションだ。この二つの製品は、仮想化環境を提供するシステムインテグレータにとっても、実効性のあるコスト削減策として有益なソリューションになる得る。
次回は、IBMのNotesのマイグレーション製品「Notes Migrator」を解説する。
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