日本クエストのソフト群に見る一考察

<使いやすいIT管理製品とは?――日本クエストのソフト群に見る一考察>1.脚光浴びるQuest製品群 シンプルで使いやすいIT管理製品

2012/10/18 20:29

週刊BCN 2012年10月15日vol.1452掲載

 米デルが買収したIT管理製品の大手である米クエスト・ソフトウェアの日本法人、日本クエスト・ソフトウェアは今後、デルの傘下で日本市場攻略を目指す。米クエストは、米バックボーン・ソフトウエアなどを買収することで獲得したデータ保護を加え、マイグレーション(システム移行)やシステム監査、パフォーマンス監視などのツールを揃え、OSやアプリケーションの異機種環境に対応した世界唯一のIT管理製品群へと進化してきた。国内で企業のデータ保護などに関するニーズが高まるなか、時宜を得た製品として脚光を浴びている。今回の連載では、6回にわたって同社の主力製品の特色をみる。(取材・文/谷畑良胤)

 「Simplicity At Work―仕事をシンプルに」──。IT管理製品で革新を続ける米クエストが掲げるコーポレート・メッセージだ。この方針に従い、複雑化する企業のIT管理をシンプルにし、IT管理全体のコスト削減を実現するツールを揃えてきた。同社の製品数は、相次ぐ買収で増え続け、現在約170種類。これらの製品は同社のポートフォリオで、以下のソリューションに分類している。

(1)データベース管理
(2)Windowsサーバー管理
(3)パフォーマンス監視
(4)ID&アクセス管理
(5)データ保護
(6)ユーザー ワークスペース管理

の6分野だ。

 各製品は、顧客の利用環境が、Windowsやデータベース、アプリケーション、あるいは物理、仮想、クラウド環境であれ、「ヘテロジニアス(異機種混合)環境を等価的にサポートできる」(石田喜明・営業部セールス・マネージャー)。データ保護・復旧やパフォーマンス監視製品など、単体製品の競合は世界に多数存在する。だが、広範なヘテロ環境に対応しているのは同社製品が唯一だ。さらに同社のソリューションは、スイート製品だけでなく、単体でも購入できる。顧客が必要に応じて適材適所にIT管理に関する同社ツールを部分的に選択できるような「使いやすい」製品というわけだ。

 クエスト日本法人の設立は2003年。昨年7月にバックボーン・ソフトウエア日本法人と統合される頃までは、同社の主力販売製品は「JClass」と呼ぶJava開発ツールだった。だが、バックボーン・ソフトウエアのデータ保護・復旧製品「NetVault」などを得たことでData Protection事業部が設立され、データ保護に関連するクエスト製品の販売にも弾みがついた。

営業部
セールス・マネージャー
石田 喜明 氏
 石田マネージャーは、その変化を次のように説明する。「いまメインで売れているのは、マイクロソフトのActive Directory(AD)やExchangeの統合・移行製品、IBMのNotesからExchangeやSharePointへのマイグレーション製品、Oracleデータベースをリアルタイムにリプリケーション(複製)できる『SharePlex』などだ」。ハードウェア、ソフトを問わずシステム移行期にある現在、同社のデータ移行や複製などデータ保護に関連する“眠っていた製品”が顕在化した。

 最近、こんなシステム移行案件が増えているはずだ。Exchange 2003からExchange 2010へのマイグレーションや、旧バージョンのNotesのサポート切れに伴うNotesデータからExchangeやSharePointなど別のコラボレーションツールへの移行、ハードウェアのリプレース時にOracleデータベースを移す作業など、IT管理に関する課題が多くなっている。

 例えば、同社のツールを使えば、こんな具合にマイグレーションが可能になる。多くは、AD移行時にバルクで一斉に移行する。だが、失敗すれば業務停止の憂き目に遭う。そこで、作業当初に「Recovery Manager for Active Directory」でADデータをバックアップ保存し、システム構成やグループポリシーの人的エラーやハード障害による生産性損失を防ぐ。その後、「Migration Manager for Active Directory」を使うことで、旧環境リソースへのアクセスを失うことなく、ADのZeroImpact(TM)マイグレーションが行える。マイグレーション後は、「NetVault」で、ADだけでなく、ファイル・データやシステムのバックアップを行い、万が一のデータ損失に備える。

 石田マネージャーは「基幹システムの転換期が訪れているので、当社製品の需要が高まっている」と話す。今年、某データセンターで起きたデータ消失事故は、人的ミスが主な原因だ。同社製品群を使えば、こうしたミスは事前に防げたはず。

 次回は、データ保護・復旧製品のうち、オープン環境に適した「NetVault」とVMware環境専用の「vRanger」を紹介する。

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外部リンク

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