IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>92.アクセス(上) 付加価値サービスを模索
2012/09/06 20:29
週刊BCN 2012年09月03日vol.1446掲載
近年は、新聞販売業界がかつてないほどの厳しい経営環境に置かれており、アクセスもその例外ではない。インターネットの普及で新聞を読まない若者世代が増加したことや、クライアントの広告出稿意欲の低下、他紙との競争激化、景品などの過剰なサービスを余儀なくされていることなど、複合的な要素が経営に打撃を与えていた。
村田社長は、「昔は、生活のなかで新聞は欠かせないものだったが、今の若い人は新聞を読まない。新聞社も販売店も発行部数にこだわり過ぎて、読者満足をおざなりにしてしまった面がある」と嘆く。頼みの折り込みチラシは、リーマン・ショック後に激減。底は打ったものの、将来に不安は隠せなかったという。「本当のサービスとは何か。原点に立ち帰ることにした」。
何をすべきかと自問するなかで、まずは自社の強みを分析・認識することから始めた。村田社長をリーダーとして、各部門の代表7~8人が会議に参加する体制を整備した。“議長役”の若松敏幸・ITコーディネータ(ITC)が提案したSWOT分析を用い、(1)読者の囲い込み、(2)オリジナルサービスの拡充、(3)営業力の強化、という重要課題を抽出。メンバー同士で、自由にアイデアを出し合い、課題の解決策について検討を重ねた。
クーポンマガジンやミニコミ誌の発行などのアイデアが挙がったが、「地域密着」という強みを生かすことができるうえ、費用対効果が高いとみて最終的に採用したのが会員カードだった。カード事業は、「ふれあいタウンひらかた朝日くらぶ」と命名。2004年3月に、新聞購読者5万世帯が利用する会員サービスとして立ち上げた。
会員は、飲食店や小売店などの協賛店で会員証を提示すれば、割引サービスなどを受けることができるようにした。協賛店にとっては、会報や「ふれあいタウンひらかた朝日くらぶ」のウェブサイトで店舗と特典内容を無償で紹介できるのが利点。村田社長は、「5万人の読者にアプローチできて、店舗の紹介が無料。断る店はなかった」と語る。現在1000店舗が協賛店になっている。(つづく)(信澤健太)
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