視点
クラウドサービスで成り立つクラウドサービス
2012/08/23 16:41
週刊BCN 2012年08月13日vol.1444掲載
実際、いくつものクラウドサービスを利用して新たなクラウドサービスを開発し、それを配信管理する仕組みそのものをクラウドサービスとして提供するものも存在している。
クラウドサービスを開発し、販売するビジネスを考えるとき、このことが大変重要な意味をもつ。クラウドサービス・プロバイダにとって、新たなクラウドサービスを開発する際には、利用するクラウドサービスのプロバイダ個々と技術契約や再販契約を取り交わす必要がある。さらに、開発したクラウドサービスをオンデマンドで販売する際には、そのクラウドサービスが利用する他のクラウドサービスを即座に仕入れ、再販するという処理が同時に行われなければならない。そして、クラウドサービス契約をユーザーが解約する際には、利用する他のクラウドサービス契約もすべて同時に解約処理を行う必要がある。それだけではない、登録ユーザーの管理も、連携データの管理も、利用されるすべてのクラウドサービスに対して一様に処理することを求められる。これらの利用契約や再販処理を個別に手作業で行ったのでは、オンデマンド・サービスとして提供することはできない。これらの処理はすべて自動化されることが望ましく、その手段もクラウドサービスとしてすでに提供されている。
さらに、クラウドサービスの導入にあたって、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが必要という考え方があるが、個々のクラウドサービスをカスタマイズできる余地はあまり期待できない。むしろ、ここで述べたように、ユーザーニーズに適合した機能をもつクラウドサービスをいくつか組み合わせて、別のサービスとして構成するという方法がより実践的である。
このように、クラウドビジネスに取り組む際には、これまでのソフトウェアビジネスとは大きく異なるサービスの開発および構成方法と、それに伴う取引の契約形態の違いに対する的確な理解が不可欠となる。
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