IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>89.紀伊乃国屋(下) アンケートの内容をExcelで管理
2012/08/09 20:29
週刊BCN 2012年08月06日vol.1443掲載
蛭田憲市代表取締役は、「うちの旅館は民家に取り囲まれていて、観光資源に乏しいので、食事に力を入れている。美味しい料理を楽しんで、ゆっくりと過ごしてからお帰りになるお客様が多い」と様子を語る。
2003年からは、宿泊客に書いてもらったアンケートをもとに、サービスの改善に取り組んでいる。アンケートには、従業員の接客の善し悪しをはじめ、料理や風呂の満足度などを5段階で評価する項目を設置。回答率は80%にのぼり、得られた評価は従業員の賞与にも反映している。
チェックしているのは、単にアンケートの内容だけではない。例えば、予算に合わせて板前が仕入れた食材の原価から料理に対する宿泊客の満足度までをすべて数値化し比較することで、課題の抽出や目標管理にも役立てている。
アンケートは、旅館・従業員に対する評価の把握と改善を促すツールとして、「Microsoft Excel」で管理。宿泊客から個別に聞き出す誕生日や好きな酒などの情報と組み合わせることで、サービス満足度の向上とリピーターの増加につなげている。宿泊客別の情報は、スキャンしてPDF化したファイルを保存しているという。
蛭田代表取締役は、「お客様のニーズをすぐにつかむことができて、ムダが減り、資本投下も容易になった。次にどのような宿をつくればよいのかがわかるので、『あたるかどうかわからない』ということがない」と、Excel管理の効果を語る。鬼澤健八・ITコーディネータ(ITC)は、紀伊乃国屋の取り組みを整理。Excel管理が経営の安定化に結びついている点を明らかにし、経済産業省からIT経営実践認定企業として表彰を受けた。現在は、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)活用やSEO(検索エンジン最適化)で、ウェブ上での販売促進に磨きをかける支援をしている。蛭田代表取締役は、「今後も激変する世の中に対応できるように努力する」と話す。(信澤健太)
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