IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>88.紀伊乃国屋(上) 高級旅館に舵を切る
2012/08/02 20:29
週刊BCN 2012年07月30日vol.1442掲載
魅力はなんといっても、地元の勝山港から直接仕入れる新鮮な海の幸。獲れたてのアワビの踊り焼きや伊勢海老のお造りなどを提供する。自家源泉で湧く温泉もあり、風呂の形状や雰囲気などが異なる客室を用意している。
創業は、1955年頃にまで遡る。当時は、蛭田代表取締役の父親がシーズン限定で民宿を運営していた。通年旅館に鞍替えしたのが、20年ほど前のことだった。それでも稼働率は1年を通じて20~30%。春、秋に予約が入る学生の合宿などに収益を頼っていた。
蛭田代表取締役は、「アクアラインや館山自動車道の開通で交通の便がよくなって、海水浴客が日帰りするようになった。それで、民宿がどんどん消えていった」と振り返る。観光資源に乏しく、宿泊客が減少傾向にあるなかで、危機感を募らせることになったという。
2000年頃に、高級旅館として生き残るべく、大きく舵を切った。まず決めたのが、旅館のコンセプト。「『大人がしっぽりとからだを休めることができるところ』と定めて、子どもの宿泊は断るようにした」(蛭田代表取締役)。
独自にホームページ(HP)を立ち上げて運営していたが、2年ほど前にウェブ制作会社を通じて、サイトを刷新した。現在、全体の宿泊予約の60%が自社サイト経由で、30%が電話、10%が宿泊サイト大手のじゃらんとなっている。
全体の半数以上がリピーターであり、その多くが自社サイトで宿泊予約の手続きを済ませるので、販売促進費を低く抑えることができている。稼働率は、2011年は通年で91.6%を誇る。
この実績を支えてきたのが、従業員による継続的なサービスの改善だった。宿泊客から回収するアンケートの内容をもとに評価ポイントを数値化し、「Microsoft Excel」で管理することで、サービス満足度の向上につなげている。(つづく)(信澤健太)
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