視点

節電における「見える化」の大きな効果

2012/07/26 16:41

週刊BCN 2012年07月23日vol.1441掲載

 経済産業省は、電力不足が懸念されている電力会社の地域の企業や家庭に対して、今夏の節電要請を行っている。7月初めから9月第1週までの平日9時~20時が節電要請の対象だ。この節電を手助けするアイテムとして、今年から推進されているのが「蓄電池」と「HEMS(Home Energy Management System)・BEMS(Building Energy Management System)」である。「蓄電池」は、13時~16時のピークカットを行うことを目的として、導入促進事業が行われ、「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進」のための補助金が用意されている。SII(環境共創イニシアチブ)が窓口となって、機器導入費用の三分の一(上限あり)を補助してくれる。時間帯別電灯契約を交わし、電力料金の安い夜間に充電しておいて昼間の電力使用ピーク時に使用することで、昼間の節電を行いつつ、電気料金を抑えることができる。

 「HEMS・BEMS」は、消費電力の「見える化」を行うことで意識的に節電を図ることを目的とするが、こちらもSIIが窓口となって「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金」が支給される。「HEMS」の補助金は、定額で1件10万円ということもあり、実質負担0円で導入できるキャンペーンを行っている販売店もある。

 「見える化」は想像以上に大きな効果を発揮する。普段の生活のなかで節電しようにも、その方法や効果がみえないために、いつの間にか節電意識がなくなったり、ストレスを感じる節電生活に陥ってしまう。わが家は、太陽光発電システムを導入したのを機に、2年前から消費電力の「見える化」がスタートしたが、今年の消費電力は前年対比で17%の削減ができている。どの家電製品の電力消費量が多いのか、どのような使い方をすると電力消費が抑えられるのかが経験としてわかり、それが生活習慣として身についたためで、決して無理をしているわけではない。また、ここ数か月の電気料金単価は燃料費調整が上がったために、昨年同月に比べてすでに10%程度の値上げとなっているが、わが家の支払額は昨年同月よりも減少している。

 節電による社会貢献と電気料金負担を下げながら、快適な生活を過ごすために「HEMS」は、必須アイテムとなっていくだろう。そして今後、「HEMS」は単に「見える化」だけでなく、ライフスタイルに合わせてエネルギー使用の最適化と効率化を自動制御する役割に発展していくはずである。
  • 1

関連記事

<いまさら聞けないキーワード>EMS(エネルギーマネジメントシステム)

<Industry Chart 業界の今を俯瞰する>節電ソリューション 「電源オフ」にとどまらない節電IT 生産性を損なわないのがポイント

<震災後の情報サービス 変容するIT投資のゆくえ>第4回 オフィスと家庭の節電編(上)

「スマートホーム」はすぐそこまで来ている