IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>85.天坊(下) IT経営の全体最適化を推進
2012/07/12 20:29
週刊BCN 2012年07月09日vol.1439掲載
2003年頃からネット集客に力を入れてきた努力が実を結び、2003年と2010年の比較で、旅行会社経由の送客に対する依存度は49.7%から35.0%に下がった。旅行会社に支払う送客手数料は、年間6377万円余りも低減できた。団体客から個人客に主軸が移ってきた結果、工数のかかる電話予約は増大したものの、ネット集客による作業工数の低減効果が大きく、予約担当の従業員を6人から4人に減らすことができたという。
このほかにも効果があった。楽天やじゃらんといった宿泊予約サイト大手に掲載されている宿泊者のレビューを通じて、社員に「お客様の満足を得る接客の仕方を鍛えることができた」(天坊の伊東実社長)という。
伊東社長がITに強い関心を抱いていたことが、ネット集客をはじめとするIT活用を全社的に進めるうえでの原動力となった。1976年に、管理会計の実現を目的にオフィスコンピュータを導入して以来、サイボウズやNIコンサルティングのグループウェアをはじめ、テクネットのホテルシステムや予算管理システムなどを導入。社内情報の共有や予算実績管理の徹底などに結びついている。
天坊の顧問を務める木部美春・ITコーディネータ(ITC)は、社内体制の整備や情報システムの導入などを通じて、IT経営の全体最適化を支援した。その一端が、天坊の各部門が定める計画値を達成するための活動計画の作成だ。従業員との合宿を通じて活動計画のフォーマットをまとめた。すべて活動項目を数値化し、人事評価の透明化や業務改善策の考案ができるようになった。
残す課題は、直前予約が増える状況下での受注管理や在庫調整の効率化。多様化する客のニーズを捉えた宿泊プランの開発、海外からの集客に向けた戦略の策定なども伊東社長の念頭にはあるようだ。(信澤健太)
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