IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>84.天坊(上) 縮小傾向の市場で、ネット集客を強化
2012/07/05 16:04
週刊BCN 2012年07月02日vol.1438掲載
1950年開業のホテル天坊(伊東実社長)は、客室183室で最大収容人員838人を誇り、地域最大規模のホテルだ。露天風呂、洞窟風呂、サウナ、エステなどを備えた大浴場「天晴」と、天然記念物の三波石を600トン使用した「岩風呂」で湯めぐりを愉しむことができる。インターネット経由での予約を増やしたり情報システムを導入したりし、知名度やブランド力の向上に成功している。
伊香保温泉は、1990年代初頭のバブル期をピークとして、大型団体旅行、入湯客の減少に歯止めがかかっていない。かつて盛んだったビジネスがらみの接待需要はほとんどなくなってしまった。一方で、個人客の比率が高まっているのが最近の傾向だ。少子・高齢化や国内産業の空洞化などの影響で、市場の拡大を見込むのが難しいなか、従来とは異なる集客手法が求められている。
天坊の伊東社長は、「伊香保温泉の入湯客数のピークは1992年くらいだったと記憶している。今はその半分くらいの客数だと思う」と話す。危機感を抱いた伊東社長は、2005年頃からネット集客に力を入れ始めた。「団体旅行に関しては旅行会社の力によるところが大きいが、個人客はネット経由の予約が多い」(伊東社長)という理由からだ。
当時は、広告宣伝に費用をかけられない小規模な旅館がネット集客に取り組んでいた。天坊のような大規模ホテルがネットを駆使した集客に乗り出すことは珍しいことだったという。まずは、手探りながら自力でホームページ(HP)の制作にとりかかった。
同規模の同業他社に先行して取り組んできたことで、豊富なノウハウを蓄積することができた。自社HPやサイト別の担当者を配置し、ITベンダーを介してSEO(検索エンジン最適化)対策を強化している。ネット人口が増加し続けるなかで、IT戦略が実を結びつつある。
2003年から2010年にかけて、団体集客の売り上げは40.28%減少したが、個人客のそれは14.96%にとどまり、売り上げの目減りに歯止めをかけるのに役立っている。(信澤健太)
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