ITベンチャー新時代の鼓動
<ITベンチャー新時代の鼓動>第6回 モバイルファーストの潮流 スマートデバイス向けサービスで勝負
2012/06/28 20:29
週刊BCN 2012年06月25日vol.1437掲載
ソニックスは、“モバイルファースト”の潮流に乗ったITベンチャーだ。クラウド上で接続されたAndroid端末に、ウェブブラウザ経由でアクセスし、アプリケーションの開発現場における実機テストを自動化する「Scirocco Cloud(シロッコ・クラウド)」の提供を今年3月30日に開始した。
「Scirocco Cloud」は、HTML5技術をフル活用したものだ。これまで手作業で行っていたAndroidアプリケーションのユーザーインターフェーステストを「Scirocco Cloud」が行うので、テスト工数を大幅に削減することができる。価格は、一部機能を無料で体験できる「Personal Plan」のほか、「Professional Plan」と「Premium Plan」(提供予定)の2種類の有料プランを用意する。
スマートデバイス向けアプリの開発で上げた収益を「Scirocco Cloud」などのR&D投資に回してきた。目指すのは、クラウドベースでグローバルレベルのサービスだ。吉澤武則社長は、「日本でのIPO(新規株式公開)、M&Aは考えていない」とのことで、海外での事業展開を前提に事業計画を練っている。米国オフィスの開設や電通国際情報サービスの上海現地法人との提携を通じた中国での事業展開などを進める予定。
京都では、美容とITに長けていることを強みに、美容ソーシャルアプリケーション「Beautecam」を開発する洛洛.comが世界に打って出ている。2012年3月に、米国で正式版を発表した。スマートフォンに専用のレンズを装着し、「Beautecam」アプリを立ち上げてからレンズを素肌に軽く当てて撮影すると、美肌診断結果や改善策などを表示してくれる。
キメ、シミ、毛穴、水分量、皮脂量の5項目について5段階でチェックする。解析結果に応じて、世界での美肌ランキングを表示したり、独自の画像検索エンジンを通じて類似の肌質のユーザーを探したりできる。Facebook、Twitterと連携しており、メッセージやストリームの更新、コメントの挿入などが可能。他のユーザーと情報交換できる。
安達貞雄代表取締役は、「肌チェックはデパートでもできるが、化粧品を買わなければならないという脅迫観念に駆られる。SNSであれば、そんな心配もない」と話す。すでに、全世界で約4万ユーザーを抱える。その半分ほどが中国人だという。(信澤健太)
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