チャネル戦略の今 ~主力メーカーの販社支援制度を知る~
<チャネル戦略の今 ~主力メーカーの販社支援制度を知る~>日本マイクロソフト 約1万3000社の「コミュニティ」パートナーを組織
2012/06/26 20:29
販売網を広げるために有効な販社支援制度
IT業界で、メーカーが製品・サービスをユーザー企業・団体に販売する方法は、主に二通りある。一つは、自社の営業担当者が直接ユーザーに販売する「直販」。もう一つが、システムインテグレータ(SIer)や卸販売会社(ディストリビュータ)を通じて間接的にユーザーに届ける「間接販売」だ。多くのユーザーにアプローチするには、間接販売が有効なので、複数のメーカーは間接販売するITベンダーを販売会社(販社)として組織する。販社は、広告業界でいう広告代理店のようなもの。複数メーカーの製品を取り扱い、ユーザーの要望に合わせて最適な製品を選んで、もしくは組み合わせて販売する。メーカーにとっては、営業担当者を雇わなくても、販社が製品・サービスを拡販してくれる夢のような販売方法だが、単純に「売ってください」では、複数の製品を扱う販社の心は動かない。そこで登場するのが、販社支援制度だ。メーカーは、販社に対して販売してもらうための教育を施し、製品が売れたときは優遇する。そのための枠組みが販社支援制度だ。メーカーによっては、販社支援制度を「チャネルプログラム」や「販売代理店制度」と表現する。同じように、販社を「パートナー」や「リセラー」と呼ぶ場合もある。一定規模以上のメーカーは、ほとんど販社支援制度をもっており、専門部隊を設けているケースも少なくない。
日本マイクロソフトの販社支援制度「Microsoft Partner Network」
では、日本マイクロソフトの販社制度は、どのようなものなのか。日本マイクロソフトは、製品や販社の業態などによって異なる複数の制度をもつ。ここでは、最も多くの販社が利用している制度「Microsoft Partner Network」をピックアップし、その基本的な要素を紹介しよう。「Microsoft Partner Network」では、三つの階層で販社を区分けし、カテゴリごとに違う支援メニューを用意している。分ける基準は、簡単にいえば、販社の技術力と売る力。販売実績が多く、技術力があればあるほど、販社はより手厚い支援を受けられる。
区分けは、「コミュニティ」「Silverコンピテンシー」「Goldコンピテンシー」の3階層だ。最も敷居が低い「コミュニティ」は、極端にいえば、どの企業でも参加できる。基本的な会社・担当者情報を入力すれば「コミュニティ」と認定され、技術トレーニングが無料で受講できたり、最新カタログ・提案書を無料でダウンロードできたりといった七つの支援を受けられる。
(1)技術トレーニング「mstep」の利用
(2)テクニカルサポート「パートナー オンライン テクニカル コミュニティ」の利用
(3)ユーザー企業向け販社紹介サイト「Pinpoint」での自社紹介
(4)日本マイクロソフト製品のカタログ・提案書のダウンロード
(5)日本マイクロソフト製品を特別価格で購入可能
(6)クラウドビジネスのサポート
(7)セミナーへの参加
参加条件がほぼないだけに、「コミュニティ」に属する販社が最も多く、その数は1万3000社ほどに上る。「Microsoft Partner Network」のウェブサイトはかなりの情報量をもつが、コミュニティの詳細を知るには、このページが一番便利。イラストを使って、わかりやすく説明しているので、日本マイクロソフトの製品販売を検討しているITベンダーにとっては有益だ。
特定分野に強いパートナーを優遇する「コンピテンシー」
「コミュニティ」から一歩進んだ階層が、「Silverコンピテンシー」「Goldコンピテンシー」だ。「コンピテンシー」という聞き慣れない単語を使っているが、これは日本語で単純にいうと「能力」。日本マイクロソフトのスタッフは「専門性」と呼ぶケースが多い。この2つの階層では、ある特定のソリューション分野で高い能力を有している販社を認定し、それに合わせた支援が受けられる。当選、「Silver」より「Gold」の方が上位で、「Goldコンピテンシー」を数多く取得している販社は、それだけ日本マイクロソフトの有力販社であるということだ。コンピテンシーの種類や条件、受けられる優遇内容を知るには、このページが最適だ。
このほか、クラウドに特化した支援制度「クラウドパートナープログラム」や、ITベンチャーを育成する支援制度「Microsoft BizSpark」など、日本マイクロソフトにはさまざまな支援制度がある。「Microsoft Partner Network」のホームページには、ほぼすべての販社向け支援制度の情報をアップしている。日本マイクロソフト製品の販売を手がけていないITベンダーは、「Microsoft Partner Network」を活用して製品を販売すれば、ビジネスは確実に拡大する。
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外部リンク
日本マイクロソフト=http://www.microsoft.com/ja-jp/default.aspx
「Microsoft Partner Network」=https://partner.microsoft.com/Japan/Partner
「Microsoft Partner Network」ガイドページ=https://partner.microsoft.com/Japan/40153406